山本昌とキングカズ~野球界とサッカー界のレジェンドが持つ少年の心~
日本球界におけるさまざまな史上最年長記録を持つ、中日の山本昌投手が2015年シーズンに50歳を迎える。これだけ長く現役を続けられる要因はどこにあるのか。同じくサッカー界の最年長プレーヤーとして知られる三浦知良選手との共通点を探りながら、その要因に迫った。
2015/02/04
永遠の少年が持つ清々しさ
それでも、いつか終わりがやってくる。寂しい話だが、ユニフォームを脱がなければならないときが、山本にもカズにも訪れるのだ。しかし、永遠のスポーツ少年は、以下の共通するコメントを残している。
「他の仕事をしている姿がイメージできない」
ひとつのチームにずっと在籍してきた選手が、「このチーム以外のユニフォームを着る自分が想像できない」という理由で引退を決意する例は、野球界でもサッカー界でも過去にいくつもあった。長期間、お世話になったチームへの感謝の思いであり、それ自体は何らおかしなものではない。
しかし、山本昌とカズは少し違う。所属するチームではなく、“競技そのものをしていない自分”を、頭の中に思い浮かべることができないという。ともに、小学校時代から約40年に渡って、競技に没頭してきた二人。プロ入りする以前の少年時代を含めて、これだけのキャリアを重ねてきたのだから、それも当然のことかもしれない。
「老いは恥ではない」。1994年に45歳で世界ヘビー級王者に返り咲いた伝説のボークサー、ジョージ・フォアマンの名言である。
山本昌と三浦知良。競技こそ違えど、年齢に抗うように現役を続ける二人について考えていると、改めてフォアマンの言葉の意味を思い知らされる。「ただ現役に固執しているだけ」という陰口が耳に入ってくることもあるだろう。しかし、永遠の野球少年とサッカー少年には、あっけらかんと笑い飛ばすような清々しさが、今もなお漂い続けている。