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De筒香が貫くプロ精神。絶不調でもノーコメントなし、“当たり前”を続ける主砲の矜持

安打は出るものの、チャンスで一発が出ず苦しんでいる横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智外野手。NPBの多くの選手は不調のとき口を閉ざすが、日本の主砲はどんなときでもしっかりとメディア対応を行う、プロフェッショナルな精神を持っている。

2017/04/14

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人としての心の置き方

 悔しくないはずはない。
 できれば、メディアの前を素通りして帰りたい気持ちがあってもおかしくないはずだ。
 
 DeNAは12日、阪神に6-8で敗れた。序盤に背負ったビハインドを少しずつ迫りながら、最後まであと一歩追いつけなかった。
 
 特に9回裏のDeNA最後のチャンスは誰もが固唾をのんで見守った場面だった。
 2点差に詰め寄り、なおも2死二、三塁と同点の好機をつくり、バッターボックスには主砲の筒香嘉智が立っていた。DeNAとしてはこれ以上にない場面だった。
 
 しかし、この日2安打を放ちながらも、7回裏にホームランが出れば同点の場面で凡退していた筒香は、1ボール2ストライクと追い込まれると、4球目のフォークを空振った。ゲーム展開としては敗色濃厚の展開だったとはいえ、開幕から続く、ホームランなしのパフォーマンスは彼の調子がベストでないことを物語っているかのようだった。
 
 こうした場合、取材現場にいる人間にとっては非常に苦痛の時間を迎える。
 敗れた選手たちの心情を思うと、そういい答えが返ってくることが期待できないからだ。日本では負けたチームの主力選手が、試合後に雄弁と語る光景は少ない。「きょうは何も話すことはありません」と口にするのが常套句で、多くの選手がメディアを避けていく。
 
 ただ、選手の心情を察するとはいえ、そうした姿勢に違和感を覚えないわけではない。勝利に貢献してヒーローになった時には雄弁に語るのに、負けたときは無言で立ち去っていく。ルーキーなどの若い選手ならまだしも、チームの主力である選手にはそれなりの義務がある。スター選手であればあるほど、敗戦でもその弁を話すことには大きな意味を持つ。スーパースターの言葉は野球界にとっては重みがあるのだ。
 
 しかし、残念ながら野球界の大勢がそうではない。
 だんまりを決めこんで、メディアから去っていく。
 
 ところが、筒香は違っていた。
 勝った時のように、メディアの前に現れると、自らの言葉でしっかりと試合を振り返った。
 
「得点圏で全く打てていないですし、今日のポイントはそこですね。ただ、バッティングの感覚はだいぶ良くなってきていますし、心配は全くしていないです。僕の中で、逆方向にヒットが打てているということは調子が悪くないということですし、あとは我慢するところはしっかり我慢しないといけないのかなと思っています」
 
 彼のメディアへの姿勢を見た時、プロとは何かというのを感じずにはいられなかった。
 ものすごい球を投げて、凄い打球を打つからプロなのではなく、生き様や、立ち振る舞い――。どんな窮地の場面でも、DeNAや侍ジャパンを救ってきた男の背景にはその実力以上に、人として心の置き方にあるのだろう。

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