ハングリー精神でチャンスをつかんだ三家和真、鈴木誠也から学んだ「努力」の意味【マリーンズ浦和ファーム通信#39】
育成選手としての2年間、独立リーグでの3年間の中で様々な試練に打ち克ち、2016年秋季キャンプのテストを経てマリーンズに入団した三家和真。次なる目標は当然、一軍だ。
2017/04/14
千葉ロッテマリーンズ
独立リーグで培ったハングリー精神
野球を辞めることも考え、悩んだが高校時代の恩師や家族からは「まだ20歳と若いのだから可能性を探ったほうがいい」と背中を押された。そして信濃グランセローズで1年。石川ミリオンスターズで2年間、野球を続けながらNPB復帰の機会を狙った。
独立リーグでの日々は衝撃の連続。練習をしたくても専属のグラウンドや室内練習場はなく学生などが使っている場所を借りて限られた時間にしか使えない。経済的にも非常に厳しかった。給料はシーズン中しか出ず、手取りで10万円あるかないか。だから、オフはアルバイトをして過ごした。引っ越し業、ホテルの配膳、食品工場では白衣を着て作業を手伝った。いろいろな仕事を朝から夜まで精を出しても生活は苦しかった。
試合前の食事もコンビニのおにぎりか白米を炊いて、ただそれだけを弁当に入れ込んで持参した。それでもNPB復帰という明確な目標が三家を支えた。歯を食いしばってガムシャラに生きることができた。どんな時でも復帰を信じ、バットを握った。
千載一遇のチャンスが訪れた。2016年11月。マリーンズの秋季キャンプにテスト生として参加をすることが認められた。「これが最後のチャンスという気持ちで挑んだ」。伊東勤監督が見守る紅白戦で今までの想いをぶつけた。9番中堅で出場をすると2打数2安打1打点。1球目から積極的に振り抜く打撃が目を引いた。ハングリー精神がチームに欠けていると感じていた指揮官はそのガムシャラな姿を買った。そして合格を勝ち取った。
「独立リーグは環境、施設が違う中、必死にやっている人がたくさんいる。その姿は一番焼き付いています。気持ちの面で特に勉強になった。独立リーグでの3年間を忘れずにやっていきたい。ここからがスタート。気を引き締めてやっていきたい」
それから1カ月後、ZOZOマリンスタジアムで入団会見に挑んだ三家に笑顔はなかった。引き締まった表情からこれまでの苦労とこれからの決意がにじみ出ていた。