9回から7回へ。DeNA山崎康晃、配置転換も前向く理由「パットンの存在が自分を成長させる」
4月23日、横浜DeNAベイスターズの9回表のマウンドには山崎康晃投手が立っていた。本拠地・横浜スタジアムは“ヤスアキジャンプ”で迎えたが、セーブシチュエーションではなく、ビハインドでの登板だった。4月14日の阪神タイガース戦を最後にクローザーの任を解かれ、配置転換となっている。それでも山崎康は前を向いている。
2017/04/25
ラミレス監督からの言葉に前を向いた
以前の山崎であればこの状況に対し多少なり悔しさを露わにしていたかもしれないが、いまはラミレス監督とのコミュニケーションを通し自分の立場をしっかりと理解している。
「クローザーを外されたときは正直残念でしたけど、冷静に考えてみれば今回のことはチームが勝つための最善策だと考えられるようになっています。だから僕は、ダメだったから、結果が出なかったからという心境でマウンドに立っているわけではありません。ラミレス監督からはこの状況をしっかりと説明してもらっていますし、自分に足りない部分を気づかせてもらっている。そこをクリアできればさらにいいピッチャーになれるんだなとも考えています。『君は7回からだ』とはっきり指示してもらい、自分としてはベイスターズで良かった、いいチームスタッフに恵まれたなって思っているんです」
先ほどラミレス監督の「去年とは同じにしたくない」というコメントがあったが、昨シーズン山崎は8月初旬に調子を崩し、以降、三上朋也、須田幸太、田中健二朗のバックアップを受けながらもセットアッパーとクローザーの両方で起用されるなどチーム方針として中途半端な状態が1カ月以上続いた。だが今年は、パットンという存在がいることでラミレス監督の決断は早かった。
「この早い展開は、自分のなかでいろいろなモノが生まれると感じています。パットンが加入することで、自分もオフから目の色を変えてやってきましたが、結果が出なければスイッチもあるなとは覚悟していました」
だが、そのパットンもクローザーに転身した途端に一発を浴びるなど決して盤石な状態ではない。改めてクローザーの難しさを感じさせ、山崎がどれほどの重圧のなかでルーキーイヤーから戦ってきたのか理解できる。
「だから僕は(クローザー争いに)負けたから7回を投げているという感覚はまったくないんです。むしろパットンの存在は自分を成長させてくれる存在だと思っているし、そういった選手が身近にいてくれるのは本当にありがたい。もっと良くなれると自分も信じているし、今日も落ち着いて投げることができ自信になりました。これを続けていけば戦略的に起用しやすい選手になれるだろうし、いつスイッチされてもいいようにしっかりと準備をして、今後も投げていきたいと思います」
厳しい状況のなか目を背けることなく自分と向き合い成長を願う山崎。いずれクローザーに戻る日が来るとすれば、精神的にも技術的にも山崎はこれまでになかったいい意味での“余裕”をたずさえ復活してくれることだろう。
この日はビハインドではあったが、大観衆のヤスアキジャンプのなか、登場した山崎は堂に入っていた。やはり9回の最終局面が、この男にはよく似合う。