投手も9人目の打者! 昨季二冠のモスコーソ、メッセンジャー、藤浪、石川……投手陣の打撃に注目
どうしても流してしまいがちな投手の打席。しかし投手も立派な9番目の打者だ。投手の打撃成績を見てみると、いろいろ興味深いことがわかる。
2015/02/07
モスコーソ、投手のみの打撃部門で二冠
ベイスターズを追い続ける者として、野球を今まで見てきた中で印象的な一打――。
佐伯のボーク打ち直しホームラン、延長3失点後のタイロン・ウッズのサヨナラ逆転満塁ホームラン、クルーンから打ったハーパーのサヨナラ逆転満塁ホームラン……などなどあるのだが、とりわけ唖然としたのは川村丈夫が打たれたバルビーノ・ガルベス投手の満塁ホームランだった。
プロ野球という舞台で最も力量差がはっきりするのが、投手が打席に入った時の投手と打者の力関係ではないだろうか?
野手との対戦に比べれば、どこか流したように軽く投げられたボールに対して、為すすべもなく腰砕けの体勢で空振りをする姿はセリーグではよく見られる光景だ。
ただ時に筋書きがないドラマとも言われるスポーツ。
この力量差が明白な場面からドラマが生まれることも時にはある。
今季、野球観戦時に投手のバッティングに注目してはどうだろうか。
昨年、セリーグ規定投球回数に到達した投手の打撃成績の一覧となる。
一目瞭然、打率は平均で1割半ばに満たず、OPSですら1割台の選手もいるほどだ。
その中でもキラリと光る成績を残しているのが、打率.209、OPS.556の成績を残し、投手首位打者、本塁打王の二冠に輝いたモスコーソだ。
規定投球回数に到達した投手の中で三振は最も少ないばかりか、逆に四球も多く、本塁打を記録しているようにパワーもある。
打撃成績的にも多少打撃が悪い野手くらいの存在感があると言っても良いだろう。
さらにおまけに投手ながら盗塁も記録しているフットワークの軽さも魅力だ(この盗塁は守備の連携ミスが呼んだものだが)。
そして投手打点王に輝いたのが、打率.107ながら勝負強く打点7を挙げたメッセンジャー。
7、8番打者の出塁状況にもよるが、面白いのがモスコーソ、メッセンジャーともに外国人選手らしく犠打が得意ではないようで、モスコーソは3、メッセンジャーに至っては最も多くの打席に立っているにも関わらず、わずか1しか記録していない。
確かに記憶をたどると、体の大きいメッセンジャーが窮屈そうに、体を屈めながらバットを構えてバントに苦戦していた姿が思い出される。