大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



筒香、不振の実態。「逆方向へのゴロ増加」の意味とは? “巧さ”が招く回り道の可能性【データで解く野球の真実】

昨シーズンは初の本塁打王のタイトルを獲得、第4回WBCでは日本代表の4番に座り勝負強い打撃を見せた筒香嘉智(DeNA)が勢いに乗れずにいる。特に代名詞といっていい本塁打が生まれず、4月27日の阪神戦でようやく第1号を記録したものの開幕から22試合、92打席を要した。WBCでは30打席で3本塁打、出塁率は.433にも及んでおり、その打撃を見て、今シーズンもDeNA打線の核となる働きをしてくれるはずと期待していたファンにとっては、筒香が今どんな状態にあるのかはかなり気がかりだろう。各種データから、彼に何が起きているのかを探ってみた。

2017/04/28

text By

photo

DELTA



“追い込まれていない状況”でのファウルの増加


 さらに様々な状況における数字を昨シーズンと今シーズンで比べていったとき気にかかったのがファウルの割合だ。バットにボールが当たったときにファウルとなる割合は、昨シーズンは40.1%だったが、今シーズンは44.9%と上昇している。
 
 これをもっと細かく見ていく。ストライクカウント別に分けて、同じ割合を見るとさらに極端な数字が出てくるのだ。0、1ストライク時には48.5%と、昨シーズンの40.6%と比べ一気に数字が高まっていた。一方で、2ストライクの状況ではむしろ数字が下がっている。
 
 これが意味するのは、「追い込まれ、三振を避けるために粘ることでファウルの割合が高まったわけではない」ということだ。追い込まれる前の、打者が自分から仕掛けていったスイング、捉えにいこうとしたスイングで、うまくボールを捉えられていない=打ち損じが増えているという事態がうかがえる。
 
 この“打ち損じ”が、どのコース、どの高さで出ているのかを確認するために、0、1ストライク時のファウルがどこで生まれたかを3枚目の図にまとめた(右)。ファウルを意味する赤いプロットは、ストライクゾーン全般に広がっており、真ん中といっていいゾーンに対しても、それなりの数が記録されている。強いスイングがしやすい、追い込まれる前の状況に絞った集計であるにもかかわらずだ。
 
 同じ図に青いプロットで示しているのは、ファウルにはならなかったが、打球がゴロとなりフェアグラウンドに転がったケースだ。これは外角、また低めにやや多く固まっている。いわゆる“いいコース”でもあり、ゴロとなるのもやむを得ないとも言えるのだが、ここで気になるのが、筒香が外の球を打ってゴロになるケースが多いという様子である。

1 2 3 4


error: Content is protected !!