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筒香、不振の実態。「逆方向へのゴロ増加」の意味とは? “巧さ”が招く回り道の可能性【データで解く野球の真実】

昨シーズンは初の本塁打王のタイトルを獲得、第4回WBCでは日本代表の4番に座り勝負強い打撃を見せた筒香嘉智(DeNA)が勢いに乗れずにいる。特に代名詞といっていい本塁打が生まれず、4月27日の阪神戦でようやく第1号を記録したものの開幕から22試合、92打席を要した。WBCでは30打席で3本塁打、出塁率は.433にも及んでおり、その打撃を見て、今シーズンもDeNA打線の核となる働きをしてくれるはずと期待していたファンにとっては、筒香が今どんな状態にあるのかはかなり気がかりだろう。各種データから、彼に何が起きているのかを探ってみた。

2017/04/28

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極端に多い反対方向へのゴロ。その理由を考える

 今シーズンの筒香は、ゴロが反対方向(三遊間)に転がるケースが昨シーズンに比べ劇的に増えている。割合にして14.9%から34.6%、20ポイント近く上昇しているのだ。先ほどの「0、1ストライクから」「外角、低めの球を打ちにいった」際に記録されていたゴロ(青いプロット)も、おそらくこうした数字を高める一要素となっているのだろう。
 
 ゴロの34.6%が逆方向へ転がるというのは、規定打席到達選手で最も高い割合で、かなり奇妙な状況だ。何しろ、パワーに欠ける中島卓也(日本ハム)や源田壮亮(西武)といった小兵選手よりも高いのである。
 
 ここで仮説を立てるが、もしかすると筒香は反対方向への打球を意識的に打とうとしているのかもしれない。もちろんベースには、「バットが出てこない」などと表現されるオーソドックスな不振に見舞われ、差し込まれがちになっているという状況があるのだろう。
 
 だが、そうした中でも打席に立たねばならない筒香が、少しでもチームに貢献するために、逆らわず反対方向を意識した打撃を見せている可能性はある。筒香に対し敷かれることも増えた、野手を右に寄せるシフトをかいくぐるという意味でも、それは有効であるはずだ。
 
 力強いスイングで一発を狙っていく力の打撃、確実に走者を返す巧みな打撃、そのどちらにも対応できる器用さは筒香の特長だ。筒香は今、その器用さを生かしチームへのダメージをできるだけ小さく抑えながら、不振からの脱出を図ろうとしているのかもしれない。
 
 ただ、DeNAの浮上には筒香の“力の打撃”が必要なのは言うまでもないことだ。もし不振に陥った筒香が“巧さ”で対処することで、本塁打が遠ざかった面があるのであれば、回り道になっている可能性もある。

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