阪神の強さは偶然ではない。猛虎優勝に導くため、藤浪よ「ちびるな」【小宮山悟の眼】
阪神タイガースが好調だ。新助っ人外国人たちが故障で出遅れるなどはじめは不安もあったが、現在は昨季育てた若手選手たちが育ち、機能している。だが優勝するためには、藤浪晋太郎投手が自信をつけてガンガン攻める投球が必要不可欠だと小宮山悟氏は考えている。
2017/05/10
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金本監督は“選手がそのままダグアウトにいる印象”
6日の土曜日のカープ戦は圧巻だった。6回までに9点差あったビハインドを逆転。ミラクルといってもいい。こういうゲームがシーズン中にあると、優勝への期待が一気に高まるというものだ。
もちろん、指揮官の手腕によるところもある。
金本監督は去年の失敗をしっかり学習している。昨季は「負けてもいい」という雰囲気でシーズンがスタートしたが、負けが込んだ瞬間に手のひらを返して「何やってんだ」という論調になった。相当に焦ったはずだ。今年はそういう失敗がないように、選手起用にもおかしな点がない。
金本監督の特徴は、これまでの監督のイメージからは少し離れるかもしれない。どちらかというと、選手がそのままダグアウトにいる印象で、常に選手を鼓舞し、喜怒哀楽をみせながら采配している。ベンチで寡黙にしてここという場面で勝負手を打つ監督ではない。
各コーチの進言もしっかり聞いたうえで、自分で判断した眼力を信用している。若手を粘り強く起用し続けていることからもそれが見える。決して、朝令暮改が悪いわけではないが、第一印象を大事にしようとする姿勢を感じる。
そういったこともあって、阪神には優勝するだけの可能性は十分にあると思う。去年のシーズンを思い返すと、奇跡的な勝ち方が多かったのが広島だった。その野球を阪神ができるのかというと、シーズン前は予想できなかったはずだ。
しかし、阪神は9点差をひっくり返した。あれだけの逆転劇が生まれたということは、去年のカープのようなチームになり得る可能性を見せたということである。
もちろん、このまま阪神が突っ走るのはそう簡単ではない。広島の選手層は厚く、昨季の経験も考えると手ごわい相手と言える。阪神がもう一段階上に行くために必要なことを挙げるとすれば、藤浪の復調だ。これしかない。彼が大黒柱としての存在感を示せるかどうかがカギになる。