怪物の投球フォーム論争 「日本時代ともメジャー時代とも違う」松坂大輔の完成へ
松坂の投球フォームに対して、評論家や野球ファンからさまざまな意見があがっている。しかし、これまでも松坂は数々のモデルチェンジを重ねながら実績を積み上げてきた。周囲の雑音をシャットアウトして、ニュー松坂大輔の完成を目指す。
2015/02/10
Getty Images
投球フォームの変化は必然
キャンプ初日から怪物の周囲が騒がしい。
8年ぶりに日本球界に復帰したソフトバンクの松坂大輔。かつての豪快な投球フォームのイメージが、日本球界関係者の目には今もなお焼き付いているのだろう。やれ肩の開きが早い、肘が下がっている、と早くも評論家や野球ファンの舌戦が異様な盛り上がりをみせている。
「お前らだって見ていたんだから。あの投げ方がいいかどうか、わかるだろう?」
2月5日。今キャンプで初めてブルペンでの本格投球を見守った佐藤投手コーチは、陣取った報道陣にこう話したという。
同8日にはテレビ番組で、野球評論家の張本勲氏が「別人ですね。肘が下がりすぎている。良くない。腕の振りが小さいし、8-2(の比率)で(活躍するのは)難しい」と持ち前の毒舌を発揮してみせた。
確かにメジャーでの7年間を経て、松坂の投球フォームは変化した。右肘にはメスを入れ、別の部位のじん帯を移植した。西武時代には88キロだった体重は、メッツで過ごした昨季は93キロ前後。体つきからして明らかに違う。投球フォームも違っていて当然なわけだ。
まず忘れてはいけないのは、数々のモデルチェンジを重ねながら、松坂はメジャー7年間で56勝を挙げたこと。そして、一部からは酷評された現在のフォームとそう変わらない姿で、昨季メッツでは1年間投げ抜いたこと。先発、中継ぎ、抑えとめまぐるしく役割が変わりながら、34試合で3勝3敗1セーブ、防御率3.89という成績を残した。