大田泰示、覚醒なるか。”栄光の55”に潰された巨人時代…北の大地で開花する遅咲きの才能
昨オフに、大田泰示外野手は読売ジャイアンツから北海道日本ハムファイターズにトレード移籍した。鳴り物入りでプロ野球界入りし、松井秀喜氏の「55」を背負うも、その重圧に勝てずブレイクしきれなかったが、新天地で少しずつ開花し始めている。
2017/05/16
今季の大田は心から楽しんでプレーしている
そうしたなかで昨オフ、巨人から交換トレードで日本ハムへ移籍。環境が大きく変わったことで、長らく「未完の大器」と呼ばれていた男にとっては飛躍への最後のチャンスが奇跡的に舞い込んだ形となった。なぜ筆者がこういう見方をするのか――。それは巨人時代の大田について近年は次のような指摘が古巣のチーム内でも向けられ、多くの同情を買っていたからだ。
「ハッキリと言えば、もうすでに泰示は背番号55を背負わされた入団の時点からプレッシャーに押し潰されてしまっていた。まだ高卒で18歳の未成年があの栄光の背番号をいきなり与えられて、普通の精神状態でプレーするのはやはり難しいですよ。
『キミはゴジラ松井級の働きを期待されているんだよ』と無言の圧力を受けているのと同じだから、どうしても泰示は余計なことを考えたり、萎縮したりしてしまいますよね。そういう形でスタートからずっこければ、どうしても後々まで尾を引いてしまう。このまま飼い殺しにならないようにするためには、あまりもう年齢を重ねないうちに彼の環境を変えてあげるのも1つの手かもしれない」
偉大なる松井氏と巨人の呪縛からやっと解放され、北の大地へとやって来た今の大田は以前よりも明らかに表情がイキイキとしている。メディアに対して「とにかく日本ハムの力になりたい」と目を輝かせて語っている言葉は間違いなく心からの本心だろう。
選手育成の手腕に定評がある栗山英樹監督も大田の潜在能力を高く評価しており、本人にとってもプロ9年目のブレイクを成し遂げる環境は十分に整っている。とにかく今季の大田は心から野球を楽しんでプレーできているようだ。
まだ打撃の調子にムラが残されているところは気がかりではある。それでも大田が新天地で持ち前の豪快なスイングを生かし、豪打を爆発させ続けて本当に今季から大飛躍を遂げれば結果的に彼を育成し切れなかった古巣・巨人にも衝撃を与えることにつながる。
大田には自慢のバットで借金生活にあえぐチームを救ってほしい。そして今もなかなか若い生え抜き戦力を育成し切れない古巣・ジャイアンツに思わずトレード放出を後悔させるぐらい、とにかく暴れまくってほしい。