投手が嫌がる「2番打者」の使い方。再考すべき「送りバント」の期待値【小宮山悟の眼】
近年、2番打者の起用方針が変わってきている。これまではバントなどつなぎの選手を置いていたが、最近は東北楽天ゴールデンイーグルスのカルロス・ペゲーロ外野手や横浜DeNAベイスターズの梶谷隆幸外野手のようにホームランバッターを起用している。打線の1、2番に座る打者と8、9番に座る打者では、1シーズン100打席近くの違いがあることを考えると、いいバッターを少しでも多く打席に立たせることは当然のことだ。
2017/05/18
打線の上位と下位では年間約100打数の差が出る
楽天がパ・リーグの首位を走っている。以前のコラムでも楽天の快進撃の要因について触れたが、チームが好調な理由の一つに、開幕から2番にペゲーロを起用していることが挙げられる。
かつては、バントなどのつなぎの選手を置くことが主流だった2番にホームランバッターを起用することは異例だ。とはいえ、昨今はDeNAが2番に梶谷隆幸を起用するなど、考え方が変わってきている。今回は2番打者について投手目線で話したい。
2番に打撃力の高い選手を置くのは、アグレッシブに攻めたいというのが一番の意図だろう。MLBでは昨年の両リーグのMVPクリス・ブライアント(カブス)とマイク・トラウト(エンゼルス)も2番打者だった。だが、MLBでのそうした流れは今に始まったことではない。
私がロッテで一緒にプレーしたフリオ・フランコがMLBで首位打者を獲った時はテキサス・レンジャーズで2番を打っていた。
日本的なものの考え方で言うと、1番バッターが出塁した後の2番の役割は送りバントが主流だが、MLBでは打って送ることができたらチャンスが広がるという考えだ。バントをするのではなくて、打てる選手を2番におくことで打線はつながる、と。フランコからそういう意味合いでの2番だったという話を聞いた。
もちろん、MLBでもバントを全くしないわけではない。本当に1点が欲しい試合の終盤などではバントを使う。ただ、用意ドンで、いきなりバントというのがない。初回から1点を取りに行くのではなくて、一気に得点を挙げていきたいという考え方なのだ。
そしてもう一つ2番打者の効用は、いいバッターの打席数を多くしたいというのがある。1、2番を打っている打者と8、9番打者では、年間を通して換算すると、100打席ほどの違いが出る。
その100打席のうちに何本のヒットやホームランが出るのかと考えたときに、いいバッターを多く回そうと考えるのは自然の流れだろう。つまり2番に置いておこうという考えに至っている。