緻密なキャンプが復活 強き頃の雰囲気に戻りつつある中日
4位から巻き返しを図るドラゴンズ。谷繁監督、落合GM体制になって2年目、春季キャンプの雰囲気は、連覇の頃に近づきつつある。
2015/02/11
Hirokazu Yokoo
トレーニングコーチの増員、育成コーチの招聘……サポート体制を再整備
その反省から、昨秋は選手個々のスキルを高めることに重点を置き、今春にそれを仕上げていくという流れを作る。そうした選手の動きを万全にサポートするため、コンディショニング・トレーニングコーチを4名から6名に増員し、技術からメンタルまで若手の指南役として松岡功祐を育成コーチ兼昇龍館寮長として招聘。ホエールズ時代から横浜ひと筋にコーチ、スカウトを歴任し、中国での指導を経て明治大でコーチを務めていた72歳の松岡コーチは、新人をはじめとして若手のよき伴走者となるだろう。
このように選手がプレーしやすい組織、環境を作り、「キャンプはファンに見ていただくものではなく、自分たちのための時間」と再定義したことで、初日から“強かった頃のドラゴンズらしい空気”が流れていたという印象だ。とはいえ、時間を区切ってファンをブルペンの中まで招待するなど、練習に影響のない範囲でファンサービスは継続されており、そこには落合監督とは違う谷繁監督のカラーも出ている。
そして、2月1日から4日間の第1クールでは、すべての野手が内外野のノックを受け、社会人から入団した4名の新人野手はプロとしての動き方を基礎から反復するなど、シート打撃や紅白戦といった実戦形式の練習へスムーズに入れるよう、体や気持ちを戦闘モードに切り替えるメニューに取り組んだ。
また、全体メニュー終了後、新人が課題練習に励む傍らでは、ベテランの森野将彦が黙々とサードの守備位置でノックを受ける。車で20分ほど離れた読谷村の球場に足を運べば、もうひとつ同じムードのキャンプが実践されている。一軍とファームという振り分けではなく、全選手が2カ所に分かれて意味のある練習に取り組む。4年ぶりのリーグ優勝に向け、緻密に練り上げられた内容の中日キャンプは、一気の逆襲を十分に予感させるものだった。