西武・菊池、なぜソフトバンクに勝てない? 求められる“真のエース”への進化
今年プロ入り8年目を迎えた埼玉西武ライオンズの菊池雄星投手が、またも福岡ソフトバンクホークス戦で勝つことができなかった。これまで15戦で勝てなかった理由をバッテリーに直撃した。
2017/05/22
悔やまれる松田の一発
また、ソフトバンクに勝てなかった。
プロ入りしてから15度目の対決で、いまだ勝利なしの10敗目。2年続けて西武の開幕投手を任された今季は防御率1点台と抜群の安定感を誇っているものの、5月19日の一戦では8回2失点で、4月7日の対戦に続いて黒星をつけられた。
なぜ、菊池雄星はソフトバンクに勝てないのだろうか。
「ピッチャーもバッターも一流が揃うところなので、先に点を与えるとこういうことになります。もっともっと粘り強くいかないと」
本人はこう振り返ったが、本調子からほど遠いなか、要所を締める投球を見せていた。一般的な先発投手の基準では、仕事を果たしたと言っていいだろう。
そんななか、菊池にとって悔いが残ったと思われる場面が2度あった。
最初は2回、先制点を奪われた場面だ。2死から松田宣浩(ソフトバンク)に対して投じたチェンジアップが外角に浮き、レフトスタンドに本塁打を突き刺された。
二つ目は7回、決勝点を与えたシーンだ。2死三塁から上林誠知(ソフトバンク)に外角を狙ったストレートが真ん中に入り、ライトにタイムリー二塁打を放たれている。
試合後、あえて聞いてみた。より悔いが残っているのは、どちらだろうか。
「うーん、松田さんじゃないですかね。2点目は勝負にいって打たれたので、しょうがない部分があります。松田さんの一発は(カウントを)とりにいったチェンジアップだったので、悔やまれますね」
1ボール、1ストライクから投じたチェンジアップが甘くなり、先制点を奪われた。打者にとって打ちごろとされる“半速球”となり、見事に芯で捉えられた。
対して、勝敗を決することになった上林への1球も、狙いより甘くなったところを痛打された。
実は、この1球には伏線が二つある。5回に迎えた前の打席と、結果球の前に外したボールだ。
1対1で迎えた5回1死、上林はキャッチャーフライに倒れた。記録だけを見れば、なんでもない凡打だ。しかし、高々と打ち上がったフライを捕球した炭谷銀仁朗には、嫌なイメージが刻み込まれた。
「スライダーをドンピシャ(のタイミング)で、キャッチャーフライを打たれました。(7回の打席では)スライダーのほうが気持ち悪かった」
そうして再び上林を迎えた7回2死三塁の初球、炭谷は外角に外すストレートで様子を見た。