無意味な「地獄のキャンプ」。改めるべき成果出ない長時間練習【里崎智也の捕手異論】
千葉ロッテマリーンズで16年プレーした里崎智也氏。現在は解説者・評論家として、野球界の“常識”に異を唱え続けている。このほど自著「捕手異論 一流と二流をわける、プロの野球『眼』」を発表した里崎氏が、野球界の発展を願い、あえて厳しい提言を送る。
2017/05/31
なぜダラダラと長い練習が行われてしまうのか?
――里崎さんが現役時代に監督だったバレンタインさんはキャンプも独特だったそうですね。
「まず秋季キャンプがなかったですからね。どうせ休むんだから意味ないと。どうせなら早くオフに入って早く練習を始めればいいんじゃないか、というのがボビー(・バレンタイン監督)の考え。11月いっぱいまで休んで12~2月までキャンプにすればより良い練習ができると。
客観的に見てボビーの方が始動は早いし、合理的ですよね。個人でやりたい人は秋にトレーニングをやってもいいよ、とも言っていたので選手にとっては足りない部分を補足できたので良かったですよ」
――日本だと長時間の練習が美徳とされる傾向はあります。
「一般的にキャンプの全体練習は長い、本当に長い。特に待っている時間。全体練習とは要するに“合わせ”なんですよ。連携を合わせること。自分の出番がなければ待っていなければならない。バッティング練習もそう。
全体で2時間バッティング練習があるとしても、自分ができるのは正味30分程度。全員で一斉に打つわけにはいきませんからね。そうなると、順番待ちしている間に走塁練習やバント練習をするわけですけど……時間合わせでやっているようなもんなんですよ」
――それはなかなか効率が悪いですね。
「はっきり言って無駄です。ボビーの場合は、例えば全体を3つに分けて同時に練習をさせていた。そうすると一気にスタートするから待ち時間が少なくて無駄がないですよね」
――他チームもそうすればいいと思うのですが…。
「そこが日本的な悪い部分ですよ。全部管理したい意識があるんでしょう。長く練習させとけば安心、みたいなものあるし…。効率が悪いんですよ。ボビーは任せるところはコーチに任せていたんですけどね」