無意味な「地獄のキャンプ」。改めるべき成果出ない長時間練習【里崎智也の捕手異論】
千葉ロッテマリーンズで16年プレーした里崎智也氏。現在は解説者・評論家として、野球界の“常識”に異を唱え続けている。このほど自著「捕手異論 一流と二流をわける、プロの野球『眼』」を発表した里崎氏が、野球界の発展を願い、あえて厳しい提言を送る。
2017/05/31
弱いチームも強いチームと同じ練習メニュー。それでは強くならない
――時間以外に気になることは?
「引退してから毎年キャンプは12球団を回るようにしていますが、どこも同じような練習メニューですよね。もちろん内容はチームによって異なりますよ。つまり、弱いチームが強いチームと同じ練習をしていても勝てないというわけなんですよ。
元々強いチームが弱いチームと同じだけの練習量だったらどうなりますか? メニューが同じなら差は縮まりませんよね」
――そうなると、キャンプ中によく各球団から出てくる「うちはどこよりも長く練習してきた」みたいなコメントは…。
「意味ないっす。どこも長くやっていますから。『地獄のキャンプ』とか言ってただ走らせて選手がしんどい思いをしているのを見て喜んでいる(笑)。そもそも、シーズンが終わって結果が出るわけですけど、優勝以外はそれまでの準備は不正解なんですよ。
つまり、12球団のうち10球団は不正解。成果が出ていない、ということですから。それなのに何十年も同じキャンプの取り組み方。これで強くなるわけない。成果から振り返って、検証しないとダメですよ」
(聞き手:ベースボールチャンネル編集部)
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里崎智也
1976年5月20日、徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮高)、帝京大学を経て98年のドラフト会議で千葉ロッテマリーンズを逆指名して、入団。03年に78試合ながら打率3割をマークし、レギュラー定着の足がかりをつくる。05年は橋本将との併用ながらも、日本一に貢献。06年にはWBC日本代表として世界一にも輝いた。持ち前の勝負強さで数々の名シーンを演出。00年代の千葉ロッテを牽引した〝歌って、踊って、打ちまくる〟エンターテイナーとしてファンからも熱烈に支持された。14年限りで現役引退。現在はプロ野球解説者・評論家を務める。