強いチームにあって弱いチームにない決定的なもの【里崎智也の捕手異論】
千葉ロッテマリーンズで16年プレーした里崎智也氏。現在は解説者・評論家として、野球界の“常識”に異を唱え続けている。このほど自著「捕手異論 一流と二流をわける、プロの野球『眼』」を発表した里崎氏が、野球界の発展を願い、あえて厳しい提言を送る。
2017/06/01
大型補強ない日ハムと広島。なぜ強い?
――弱いチームを強くしていくために必要なことって何でしょう?
「2つあります。お金をかけるか、知恵を絞るか。一概には言えないですが、お金をかければある程度は強くなる。『年俸20億円』で誘えばいい。みんなFAで来ますよ。もちろんこれは極端な例ですが、強くなるのはたしかな事実。それも戦略としてアリだと思う。
育てる時間がない、いい人材は全部ヘッドハンティング。そんな企業は一般社会でもたくさんありますよね。そうやって強烈な人材を集結させてトップを狙うのは戦略の1つ。その逆で、お金はないけど育てる能力・ノウハウはある、だから地道にやる。それもアリ。どっちを選択するか」
――昨今のプロ野球では日本ハムや広島はそこまで大きな補強をしているわけではない、むしろ有力選手をどんどん放出している。それでも強さを維持しています。
「それこそ知恵ですよ。日ハムは主力をバンバン出しても強いのは、フロント含めて意識改革ができていて、スカウティングもしっかりしているから。チームの総年俸もそう高いわけじゃない。広島もそう。選手もしっかり育てている。
巨人やソフトバンクは強いけども、必ずしも優勝できるわけじゃない。お金をかけなくても勝っているチームが現実にいるってことは、頭の使いようで組織を強くしていくことが可能ということ。さっきも言ったようにどっちか。だけど、お金もなくて知恵もない、それじゃあ勝てない。野球じゃなくて、どんな会社でも潰れちゃいますよ」