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「いつもと違う」交流戦の効用。斎藤佑樹、中田翔は復調の”きっかけ”となるか【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#52】

プロ野球は30日からセ・パ交流戦がスタート。04年の導入以降、今年で13年目を迎えるが、やはり交流戦ならではの楽しさが満載だ。

2017/06/04

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交流戦でも好調の選手、復調を期待したい選手

 本当はアクセス数を稼ぐために斎藤佑樹を単独で取り上げたほうが『ベースボールチャンネル』のお役に立つと思うのだが、そういうやり方はしない。斎藤佑樹は5回0/3、81球、被安打5、1失点、中村勝は5回、94球、被安打5、3失点であった。どちらもつかまり出す前に早めの継投策を用いた。谷元圭介、宮西尚生は連投だ(谷元は県営大宮の西武戦、リリーフに失敗して中村の勝ちをフイにしてるから思うところあっただろう)。復活勝利の背景にはこのスイッチの早さが利いていると思う。
 
 斎藤はスライダーとフォークを丹念に低めに集めた。中村はストレートとカーブの緩急だ。自分のスタイルをつくろうと(あるいは取り戻そうと)懸命だった。受けたのは2戦とも大野奨太だ。リードがすごくよかったと思う。相手打者の狙いをうまく外し、逆を突くことに成功していた。現在の交流戦は投手の頭数が必要だから、斎藤や中村にはぜひとも働いてもらいたい。「早めの継投」と「(2巡くらい)逆を突くリード」はセットで考えたい。まぁ、もちろんそうやって仕事をしてるうちに自信をつかんで、長いイニング投げてもらえるようになるのが理想だ。「交流戦はきっかけになる」から。
 
 打者で印象に残ったのは近藤健介と中田翔だった。近藤は開幕から47試合、打率4割をキープし張本勲の球団記録を更新した。見たことない投手の初見の変化球が増えたりするから交流戦はピンチじゃないかなぁと思ったが、(驚いたことに)あんまり関係なさそうだ。パの投手と比べて特にきびしい攻めもして来ないし、ボールを最後まで見て四球も選べている。最初は大谷翔平がいなくて地味になるかと思ったが、「4割打者vsセの投手陣」という構図があるだけで今年の交流戦は大当たりだ。ゲームスコアと関係なく近藤の打席は見逃せない。また見ていると相手のなかで「4割打者・近藤健介」の意味がどんどん肥大していく感じだ。近藤も気持ちの鮮度を保つ方向にうまく交流戦を活用している。
 
 「いつもと違う○○」の最大効果を発揮したのが中田翔だった。DeNA戦第2戦が3安打5打点、第3戦が(札幌ドーム今季初の5号2ランを含む)2安打2打点。しかも、レアードから借りたバットだ。やっぱり中田が打つと最高に盛り上がる。言っちゃ悪いが今季は得点圏打率がずっと1割台で、近藤健介がいくら打っても(あるいはいくら歩かされて塁を埋めても)なかなか得点に結びつかなかったのだ。例のベイスターズファンの知人とは「白崎がチャンスで打って、斎藤がピシャリと抑え、中田が打点を荒稼ぎするんだから交流戦はたまらないねぇ」と語り合ったくらいだ。
 
 今、打線でいちばん調子を落としているのは石井一成だろう。中島卓也が1軍登録したから、近いうちに入れ替わりになるのかもしれないが、僕はレアードのバットを借りてみてほしい。「いつもと違うバット」で「いつもと違う風景」に立つのだ。ていうか、もうみんなレアードのバットで打ってくれていい。セの投手陣よ、レアードのバットが火を噴くぜ(もしかしたらレアード以外で)! 前代未聞の「レアードのバット打線」というのはどうだろう。とりあえず近藤の4割と中田のレアードのバットがいつまで続くか、交流戦を大いに楽しみたい。
 
「いい」「よくない」の間を行きつ戻りつ‥…忘れられない「先発・増井」の安定感【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#53】
 

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