西武・秋山&広島・田中が選出。パ2位・源田も示した“強打者”を上回る重要な貢献度とは【データで選出5月月間MVP】
5月度の日本生命月間MVPが発表され、打者はブランドン・レアード(日本ハム)とダヤン・ビシエド(中日)が、投手は則本昂大(楽天)と菅野智之(巨人)が選出された。今月もデータに主眼を置いた別角度からの評価で、序盤から中盤へと向かう5月、最も大きな貢献を果たしていたのがどの選手だったのかを検討してみたい。
2017/06/09
「連続試合2ケタ奪三振」で記録樹立の則本(楽天)がトップ
投手の評価には、奪三振、与四死球、被本塁打、またゴロかフライかライナーかといった打たれた打球の種別から算出する推定失点率tRA(true Run Average)、どれだけ多くの量を投げたかの投球回で、質と量の両面から貢献を計る。
5月に登板した32イニングを、平均的な投手が代わって担った場合と比べ、8.2点ほど少ない失点で投げ抜いたと推定される則本昂大(楽天)が頭ひとつ抜けた働きでトップとなった。6月1日に7試合連続2ケタ奪三振の新記録を樹立したが、5月は32イニングで46奪三振。20%弱が平均の値となるK%(奪三振/打者)で月間37.4%を記録。平均的な投手のほぼ倍のペースで三振を奪い続けた。
質だけでなく、量でも貢献したのが東浜巨(ソフトバンク)と菅野智之(巨人)だ。2人がそれぞれ投げた37イニングは12球団トップ。投球の質はランキング内の他投手に比べて特別よかったわけではないが、5度先発登板できたこともあり数値が高まった。
菊池雄星(西武)、ランディ・メッセンジャー(阪神)はそれぞれ30%前後のK%。則本ほどではないがやはり高く、この部分で他投手に差をつけた。能見篤史(阪神)は25.7%のK%に加え、長打になりにくい打球であるゴロをうまく打たせていた。打球に占めるゴロの割合を表すGB%(ゴロ率)は59.4%。50%前後が平均の数字だが、これを大きく上回った。
野上亮磨(西武)、野村祐輔(広島)、能見は被本塁打を0に抑えることに成功したことも高い評価につながっている。
セイバーメトリクスでは投手の評価において被安打の数を用いないこともあるが、被本塁打については投手の責任として扱われることが多い。奪三振、与四球、ゴロ率で優れた数値を記録している菅野のtRAが3点台となっているのは4本塁打を浴びているためである。1本塁打に抑えた菊池、加藤貴之(日本ハム)、ジョー・ウィーランド(DeNA)もこの部分で高い評価を与えている。(図内のHR/9は、被本塁打を9イニングあたりの本数に換算した数値)
本家・日本生命月間MVPとは、投手は一致、野手(打者)は少し異なる結果となった。なお、本家で受賞したレアードはこちらの評価でもパ・リーグの野手で6番目(総貢献=10.6)に入っている。