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「いい」「よくない」の間を行きつ戻りつ‥…忘れられない「先発・増井」の安定感【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#53】

交流戦もいよいよ終盤だが、ファイターズはなかなか思い通りの野球を展開できていない。今季自身の希望で、再び抑えに戻った増井浩俊も投球内容にムラがある。

2017/06/18

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昨年は先発へ配置転換され、逆転Vの立役者だが……

 今季の増井の場合、その怒られ方に特徴がある。「野球やめろ!」とか「故郷へ帰れ!」とか、救援失敗して怒ってるんだから文句が全否定へ向かいそうなもんだが、全否定はしないのだ。力は認めている。「先発転向しろよ!」と怒られる。背景にあるのはもちろん去年、配置転換されて、先発に転向したらあっさり10勝して逆転リーグ優勝の立役者になってしまった増井の力量である。去年、後半戦の追い上げ期、最も安定していた先発投手は増井だったんじゃないか。言い方を変えると「いい増井」専門だったんじゃないか。
 
 僕はてっきり今季は先発ローテを1年守るのだろうと想像していた。毎日、ブルペンに入るリリーフ投手と比べて、上がりの日のある先発は心理的にかなりリフレッシュできるという。自分のリズムで調整できるのだ。増井の場合はマーティンという後継者もいた。わざわざ苦行の世界に戻る必要がない。
 
 が、本人の意向は抑え復帰だったのだ。わからないものだなぁ。まぁ、それが増井浩俊という男の美学なのだろう。というわけで僕らは「いい増井」と「よくない増井」の間を行きつ戻りつする人生を送っている。考えてみると今季のファイターズは「2016年日本シリーズ1、2戦の先発投手」を二枚欠いているのだ。やっぱり本人の意向っていうのは大きいのだなぁ。「大谷がケガしてるから悪いけどチーム事情でたのむよ」みたいなことにはならないらしい。
 
 つまり、気がついたが増井浩俊も「二刀流」と呼んでいい選手なのだ。先発と抑えだ。ただこちらは両方やろうとする二刀流ではない。僕は(望まないことはさせられないし)面白い状況だなぁと思って注目している。皆、「先発増井」の安定感が忘れられないのだ。忘れかねて今日も行きつ戻りつするのだ。
 
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