“画面越しの世界”は、まっすぐ歩んだ道の先にある。二木康太の一軍への道のり【マリーンズドキュメント】
プロ4年目を迎えた二木康太。今季は開幕ローテーションから外れたものの、ここまで4勝1敗で厳しい状況のチームを支えている。
2017/06/23
千葉ロッテマリーンズ
背伸びせず、目の前にあるものに打ち勝つ
現在、4年目の二木は入団当初に比べて体重が15kg近く増加した。管理栄養士はここ数年で最も優秀な取り組みをした選手として真っ先に二木の名を挙げた。新人時代の学びを継続させるだけでなく、つい最近もサプリメントの成分を一緒に調べてほしいという依頼があったのだと嬉しそうに話した。
月日が経ち、1年目の頃によく面倒を見てくれた先輩は既にチームを去ったが、今でも連絡を取り合う仲が続いている。山森スカウトは顔を合わせる機会が減っても、登板前と登板後は欠かさず連絡をくれる。
一軍が遠かった頃、二軍で体力強化を支えてくれたチームスタッフは言っていた。「トレーニングも、食事も、何をするにしても、『なぜそれに取り組むのか』という理由を理解していれば、必ず意味のあるものになっていく」。この言葉は二木の胸に深く刻まれている。
無理に背伸びをして大きな収穫を狙うのではなく、ただ目の前にあるものに打ち勝っていく。その連続で成長を遂げた濃密な日々があるから、この先どんなに派手な活躍をしても、二木の根底にあるものが揺らぐことはない。
「まさか一軍でこれだけ登板できるとは思っていなかったので、順調……、順調以上だと思います。今年は開幕ローテーションに入れずに、二軍で迎えたことがすごく悔しかったけれど、最初の一軍登板で良い投球ができたことで乗っていけたと思います。今もなんとか投げさせてもらっているので、貯金もしていきたいですし、先発投手にとって完投勝利はすごく嬉しいことなので、もっともっと完投や完封を増やしていきたいです」
今後は、その背中を見つめる人が増えていくだろう。かつての二木のように、今この瞬間も寮の食堂にいる選手は、目の前の食事とテレビ画面に交互に視線を移し、自分の取り組んでいることは未来の糧になると信じている。その一方で、一軍で活躍する選手は切り離された遠い世界にいる存在なのだと思っているかもしれない。
そんな若い選手たちに、テレビ画面の向こう側から二木が証明している。その目に映っているのは、切り離された世界にいる選手なんかではない。まっすぐな道の先にいる、数年後の自分自身の姿なのだと。