急逝の西武・森コーチ、周囲に愛された人柄と笑顔。「選手の未来を大切に」BC石川監督時代の思い出
埼玉西武ライオンズの森慎二投手コーチが、28日午後0時10分、多臓器不全のため、福岡市内の病院で死去した。42歳だった。BCリーグ時代に取材し、その人柄を知る記者が当時のエピソードを振り返る。
2017/06/30
笑顔が与える安心感、周囲ねぎらう“気遣いの人”
埼玉西武ライオンズの森慎二投手コーチと初めて会ったのは、2014年のBCリーグ・石川ミリオンスターズの監督兼選手時代。記者になって3年目、スポーツ取材は右も左もほとんどわからなかった。
森さんは、勝っても負けても真摯に取材に応じてくれ、緊張しながら投げかけるつたない質問にも丁寧に答えてくれた。飾らず、おごらず、大きな体には不釣り合いな親しみやすい笑顔で、安心して話が聞けた。
負けたときでも、「よくやってくれた」と選手をねぎらう気持ちを忘れない“気遣いの人”だった。その姿勢を甘いと言う人もいたが、BCリーグで勝つこと以上に、「一人でも多くの選手をNPBで勝負できるように育てる」ことを目標にし、選手の未来を大切にしていた。
森さんにとっては些細な事だったと思うが、忘れられない思い出がある。
試合以外の取材で会ったときのことだ。こちらは普段、球場では履かないハイヒール姿だった。
開口一番、「お、珍しいね」とその違いに気づいた。「いつもはひょこひょこ歩いてるのに。こんな感じで」と、ちゃめっ気たっぷりに歩くしぐさをまねされた。
ひょうきんな一面を見られて記者冥利に尽きると感じるとともに、いくら球場に通っているとはいえ、いち記者のそんなところまで見ているなんてと驚かされた。