「ファイターズの走者vs甲斐の肩」は、新たな名勝負数え歌の予感【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#54】
交流戦明けのソフトバンク戦、3タテを食らったファイターズ。チームの色である足をソフトバンク・甲斐の肩によって封じられたが、見応え十分な対決だった。
2017/07/01
敵ながらあっぱれだった甲斐の強肩
交流戦明けのソフトバンク戦は3タテを食らった。おかげで本稿執筆の6月29日現在、またまた5連敗だ。今季は10連敗&6連敗を経験していて5連敗くらいじゃまだまだという気がするのだが、立派な大型連敗である。しかも、交流戦明けの再スタートでいきなりつまずいている。打てないんだよなぁ。今回の5連敗では「30イニング無得点」もあったし、「走者をためてあと1本が出ない」も連続した。
つまり、ハムファンとしてはまことにフラストレーションがたまる試合だったのだ。なのに、ソフトバンク戦はすごく面白かった。僕は敵にすごい選手が出てもけっこうしびれてしまうところがある。ソフトバンクなら今年は上林誠知に魅せられている。稲葉篤紀そっくりじゃないか。ヘッドを走らせて内側をさばく感覚がちょっと特別だ。よその有望選手をつかまえてこんな言い方もないとわかっているんだけど、「何でこんな稲葉が敵になってるんだよぉ!」と残念でならない。
あ、本題からズレるが「そっくり似ている」シリーズでいうと、今季はちょっと2軍でくすぶってるっぽいんだけど、楽天の中川大志だ。北海道のファンはあんまりピンと来ないかもしれないが、中川の打撃フォームはチームOB 大島康徳さんの現役時代にそっくりだ。中川も最初に見たとき、「何でこんな大島が敵になってるんだよぉ!(せめて中日じゃないんだよぉ!)」とものすごく手前勝手な感情を抱いた。野球をずっと見ていると、そういう記憶のストックを使えるようになるのが面白い。で、上林も中川も大好きになってしまう。まぁ、あんまり打たれると困るんだけど。
本題。この3連戦、(敵ながら)しびれたのは甲斐拓也だった。ソフトバンクの若手捕手だ。僕はハムファンだからそりゃもちろん鶴岡慎也が出てきたほうがほっこりするのだ。なるべくなら鶴岡が見たい。が、この3連戦は甲斐に惚れ惚れした。素晴らしい肩だ。僕は細川亨(楽天)が出ちゃって大丈夫なのかと思っていたのだ(楽天は楽天で、嶋基宏に加え経験豊富な細川がいるのは厄介である)。だけど、甲斐の活躍を見て納得がいった。なるほど、これは実戦で使いたい逸材だ。
いわゆる肩の強さ(スローイングの正確さや球速)もさることながら、甲斐は捕ってから投げるのがめちゃ速い。魅力ありますねぇ。ちょっと出色じゃないか。プロ野球見ててもあんまりお目にかかれないくらいの速さだ。さすがソフバンさん、育成からすごい選手を上げてきた。