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「ファイターズの走者vs甲斐の肩」は、新たな名勝負数え歌の予感【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#54】

交流戦明けのソフトバンク戦、3タテを食らったファイターズ。チームの色である足をソフトバンク・甲斐の肩によって封じられたが、見応え十分な対決だった。

2017/07/01

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意地を見せた西川の足

 で、敵地ヤフオクドームの3連戦は「ファイターズの走者vs甲斐の肩」という楽しみがあった。冒頭触れたようにこのシリーズは貧打&タイムリー欠乏症で3連敗だ。打てなければ足でかき回すしかないじゃないか。ファイターズは北海道へ移転してから、足攻にこだわってきた。盗塁、タッチアップ、ゴロゴー、ひとつ先の塁を奪おうとする走塁術。打てなくてもゲッツー崩れやスクイズやゴロゴーの本塁突入で何とか1点をもぎ取ろうとする。僕はファイターズは「打てない前提」で野球スタイルを基本設計してきたチームじゃないかと思う。
 
 だから甲斐との対決は火花散るものだった。第1戦、中島卓也(2015年パリーグ盗塁王)が挑んだ。これは完璧なスタートだったが、甲斐の送球が更に見事だった。スライディングしてくる足のところにドンピシャで行ってる。まぁ、スローで見ると中嶋の足が先に入ってるんじゃないかとも思えるが、送球が良すぎて、たぶん僕が審判でもアウトと言ってしまう。中嶋は全く抗議のそぶりもなくベンチに引き上げた。
 
 第2戦は田中賢介が挑んだ。賢介は2010年の34盗塁がキャリアハイ、ベテランになっても俊足は健在で去年(2016年)もきっちり22盗塁を決めている。で、甲斐との対決だが、これは完敗だった。スタートももうひとつだったが、甲斐の送球が素晴らしすぎた。賢介がまだ塁間にいる時点で送球が届いている。余裕を持ってアウトだ。
 
 またこの試合はこんなシーンもあった。スコア5対6で迎えた9回裏、無死1塁で代走・大累進を起用したが、ヘビににらまれたカエル状態で、ついに盗塁はなかった。もし盗塁できれば送りバント&犠牲フライで同点という局面だったが。
 
 つまり、1,2戦で甲斐はファイターズの足を封じたのだ。舌を巻いた。守備もプレッシャーをかけられるという好例だ。だけど、やられっぱなしで終わるわけにいかない。まだシーズンは半分あるのだ。(試合の勝敗は別にして)甲斐には勝って、今後の対戦で逆にプレッシャーを感じてもらいたいじゃないか。
 
 ファイターズの意地を代表したのが第3戦の西川遥輝(2014年パリーグ盗塁王)だった。これは完璧にモーションを盗んだ。スタートがもうあり得ない早さだ。ついに甲斐を負かした。西川会心のスチール成功! 僕は点も取れない(この試合、ゼロ封された)のに、よおっしゃ~である。こういう戦いもあるんだよ。
 
 ソフトバンク戦は野球の魅力がいっぱい詰まっていて、いつもドキドキハラハラ、最高に楽しんでいる。「ファイターズの走者vs甲斐の肩」はこの後も名勝負数え歌となりそうな予感がする。もっともっとバチバチ火花散らしてほしい。大累はあそこで走れるすごみを身に着けてくれないかなぁ。
 
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