「世界一に必要不可欠な先発左腕」 唯一の10代選手・松井裕樹選出の狙いとは?
侍ジャパンが3月10、11日に行う欧州代表との強化試合の日本代表26人を、2月16日に発表した。松井裕樹が唯一の10代で選出された。
2015/02/17
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課題は先発のできる左投手
中でも、最年少19歳で唯一の10代選手となった松井は、今後の小久保ジャパンのカギを握る存在だ。
「課題は先発のできる左投手」
昨年11月の日米野球期間中から、小久保監督は険しい表情で何度もそう繰り返してきた。前大会で先発した投手は、強化試合を含めても前出の大谷、前田健、金子、則本、そして阪神・藤浪、ソフトバンク・武田と全員が右投手。ロングリリーフができる、いわゆる第2先発として選手されたのも、オリックス・松葉、阪神・岩田の2人だけだった。
チームは2年後、2017年のWBCでの世界一奪回を、最大にして唯一の目標に据えている。
若年層に不足している先発左腕。そのチームに足りないピースを、松井に求めているわけだ。
日米野球後には、松井と並べて西武・菊池の名前も期待の新戦力に挙げていた小久保監督だったが、今回はチームでの調整を優先して見送った。
松井にとっては、代表において自らの居場所をつかむ最大のチャンスといえる。小久保監督も会見において「松井君のようなフレッシュなメンバーは、しっかり名前を売ってほしい」と名指しで期待を寄せた。今回の欧州代表戦では中継ぎでの起用を明言している。
会見に同席した松井は「本当に光栄なことだと思います。持ち味は空振りを多く取れるところだと思う。真っ向勝負をして三振を取りたい」と力強く語った。
各球団を見渡しても、名のある左腕はベテランぞろい。2年後を見据えると、他には中日・大野、日本ハム・吉川、楽天・辛島、ロッテ・藤岡、ヤクルト・村中らあたりか。大野を除けば、いずれも伸び悩みの感は否めない。
世界一を再び狙うにあたり、必要不可欠な先発左腕。若手にメドが立たなければ、本番は30代前半から中盤で迎えるソフトバンク・大隣、ヤクルト・成瀬、巨人・内海らに頼らざるをえない。松井の台頭は、侍ジャパンにとってもなくてはならないものだ。
本来であれば、顔見せにすぎないシーズン開幕前の強化試合での登板。
おそらく1イニングか、長くても2イニング。だが、それを国際試合の空気を吸うだけでは終わらせてほしくない。
しっかりとした爪痕を残せれば、侍ジャパン完全復権への大きな足掛かりにもなる。