健在だった則本の奪三振力、マイコラスは圧倒的貢献度。岩瀬はセ4位、投手陣は異なる結果に【データで選出6月月間MVP】
6月度の日本生命月間MVPが発表され、野手は柳田悠岐(ソフトバンク)と丸佳浩(広島)が、投手は十亀剣(西武)と岩瀬仁紀(中日)が選手された。今月もデータに主眼を置いた別角度からの評価で、交流戦を中心に行われた6月、最も大きな貢献を果たしていたのがどの選手だったのかを検討してみたい。
2017/07/12
圧倒的な打撃で差をつけた柳田、打撃に加え守備貢献も大きかった丸
貢献の評価は、(1)セイバーメトリクスの一手法を用いて選手の働きを得点換算し、(2)同じ出場機会を「平均的な成績の選手」が担った場合の働き(得点)を基準(=0)に置き、どれだけ上積みをつくったかという推定値を算出して行った。
「平均的な成績に対して大きな差をつくり」、また「その状態で多くの出場機会を重ねていく」ことで増えていく数値なので、質と量、両面での貢献を見ることとなる。
まず野手は、パ・リーグが平均から17.1点の上積みをつくった柳田、セ・リーグが両リーグ最高の19.8点を積み上げた丸がトップになっている。日本生命月間MVPと同じ選手が選出された。両者に続くのは、パは西川遥輝(日本ハム)、ステフェン・ロメロ(オリックス)、セは宮﨑敏郎、桑原将志のDeNA勢となっている。
柳田と丸はそれぞれ打撃で19.0点、15.1点分の貢献を果たしており、総貢献のほとんどを打撃で稼いだ。さらに丸は打撃での貢献に加え、守備での働きを示すUZR(Ultimate Zone Rating)でも同じイニングを守った平均的な中堅手に比べ3.3点多く失点を防いだと評価されており、攻守両面で貢献を果たした。
その他複数の要素を生かした選手としては西川がおり、打撃こそ丸に及ばないものの、月間9盗塁と走塁面で2.7点のプラスをつくり、走攻守で総合的な貢献を見せていた。
柳田、丸の次に優れた打撃貢献を見せたのがロメロと松山竜平(広島)だ。打撃でそれぞれ10.9点、9.3点を稼いだ。ロメロは85打席、松山に至ってはわずか62打席と機会が少ない。その中でこれだけ打撃で総貢献を積み上げられたのは1打席あたりの貢献の質が高かったためだ。
丸のほかに守備での貢献が大きかったのは、岡島豪郎(楽天)、宮﨑、桑原らだ。特に岡島に関しては打撃貢献がわずか0.4点と平均レベルにもかかわらず、UZRで同じイニングを守った平均的な左翼手、右翼手に比べ6.1点多く失点を防いだ。
守備指標UZRは各ポジション内での相対的評価であるため、異なるポジション間を比較する際は、守備位置ごとの補正を行う必要がある。一般的に高い守備力、もしくは独自性のあるスキルを要するポジション(遊撃手や二塁手、捕手など)を守った選手はプラスに補正をかけ、その逆のポジション(一塁手や左翼手など)はマイナスの補正をかけるといった具合だ。
今宮健太(ソフトバンク)、坂本勇人(巨人)は攻守で平均以上の働きを見せたのに加え、高い守備力が求められる遊撃手であるため、それぞれ守備イニングに応じて、0.9点、0.7点がプラスされた。守備負担が大きいポジションで平均以上の守備力を発揮できるのはごく一部の選手だけであるため、高い評価が与えられる。坂本は総貢献で3ヶ月連続でセ・リーグの5位以内に入っており、非常に安定した働きを見せているといえる。