初戦で猛打 開花近し?中日の”ロマン枠”福田永将という男
ファンにとってそれぞれの球団に必ず、まだ活躍できていないけれど、いつか花が咲くだろうと期待を寄せる選手がいる。まさにロマンではないか。ドラゴンズの福田永将は、そんな選手だ。その福田が、21日のオープン戦では6番ファーストで先発すると4打数4安打1打点、1四球と大爆発した。
2015/02/22
まさにロマン砲! プロ初打席初本塁打の快挙
なにせ、福田はプロ初打席でホームランをかっ飛ばした男だ。
小学校の頃から120メートル級のホームランを打ち、中学時代はシニア全日本代表の四番を務め、あのニューヨーク・メッツから入団テストを受けてほしいと請われたほどの逸材だった。
横浜高校では2年から四番に座り、主将として甲子園優勝も経験した。
高校通算49本塁打の実績をひっさげて、2006年の高校生ドラフトでドラゴンズに3位指名された福田だったが、入団当初の捕手から一塁手へとコンバートされた影響もあって、一軍デビューは3年目のことだった。
2009年7月7日の東京ヤクルト戦、9回に代打としてプロ初打席を迎えた福田は、ピッチャー押本の投球をいきなりフルスイング!(そして思いっきり空振り) その後、振って振って見送って、5球目をまたまたフルスイング! 快音を残したボールは左中間スタンドに吸い込まれていった。プロ野球史上49人目となる快挙の達成だ。ポーカーフェイスでおなじみの落合博満監督も、このときばかりはさすがに驚きの表情を浮かべていた。
ところがその後、福田はチャンスを掴み切ることができず、ほとんどのシーズンを二軍で過ごす。二軍では打つが、一軍に上げるとサッパリという“二軍の帝王”化が進んでいった。それでも2011年には開幕前から好調を維持し、4月には阪神のあの藤川球児から代打ホームランをかっ飛ばしている。これをロマン砲と言わずして何と言おう。
思えば、落合監督が就任当時ぶっ放していたのが、“右の日本人四番打者”構想だった。田上秀則、高橋光信、桜井好実、幕田賢治、仲澤忠厚、前田章宏……筋金入りのドラゴンズファンでも候補者全員の名前を言える人は少ないだろう。落合GM体制1年目の昨年、開幕時に四番に座った平田良介は、“遅れてきた右の日本人四番打者”と言っていい。
平田の1歳年下の福田だって“遅れてきた右の日本人四番打者”候補の一人だったはずだ。一塁のポジションには本物の大砲、トニ・ブランコがどっかりと座っていたが、ブランコにケガが多かった分、福田にもチャンスはあっただろう。
しかし、気が付いたら福田は再び捕手になっていた。それどころか、小学校1年のときにしか守ったことのない二塁のポジションについていた。なぜだろうか?
その答えを知っているのは、老将・高木守道監督だ。2012年5月、DeNAに12対1で大敗を喫した試合で、高木監督は福田に二塁を守らせた。当時の新聞紙面には「若手をテスト」と書かれていた。(当時これを読んで、そんなわけあるか!と思わず突っ込んでしまった)
試合で一塁手を使い切ってしまったため、まったく未経験だった捕手の松井雅人に一塁守備につかせた試合と並ぶ、高木監督屈指の謎采配だった。
なぜか福田は二塁を守った試合でホームランを打つが、この年のホームランはこの1本だけ。2013年、2014年は一軍出場もほとんどなく、ホームランもゼロ。福田の選手生命は風前の灯かと思われた。