初戦で猛打 開花近し?中日の”ロマン枠”福田永将という男
ファンにとってそれぞれの球団に必ず、まだ活躍できていないけれど、いつか花が咲くだろうと期待を寄せる選手がいる。まさにロマンではないか。ドラゴンズの福田永将は、そんな選手だ。その福田が、21日のオープン戦では6番ファーストで先発すると4打数4安打1打点、1四球と大爆発した。
2015/02/22
土井臨時打撃コーチの指導で、花開くか?
福田の消えかかった選手生命の灯を再びともしたのは、西武時代に清原和博や中村剛也を指導した名伯楽・土井正博臨時打撃コーチだ。土井コーチはキャンプ中、打撃面で成長のあった選手として、高橋周平、桂依央利、松井佑介、そして福田の名前を挙げていた。
2015年、対外試合の最初の3試合はすべてスタメン四番として起用。土井コーチの指導の下、オープンスタンスで深く沈み込む新打法で臨み、見事2試合連続でホームランという結果を出してみせた。
ただし、このままの勢いで活躍できるほどプロの世界は甘くはない。そもそもドラゴンズの一塁にはゴールデングラブ賞受賞のスラッガー・森野将彦という分厚い壁がいる。ベストナインのエクトル・ルナが一塁を守るという話もあるし、大打者・小笠原道大が守備につくとしたらやはり一塁だ。
それでも新打法で今の調子を維持していけば、福田にだって必ずチャンスはある。現時点では右の代打一番手だし、一塁にひしめき合うベテランたちが長いシーズンの途中で疲れを見せれば、一気にポジションを奪う可能性だってある。
ドラゴンズの背番号55は、松井秀喜を意識してつけられた番号ではない。先日逝去された大豊泰昭さんが長きにわたってつけていた番号だ。大豊さんが熱烈に憧れた故郷・台湾の英雄、王貞治の1シーズン最多ホームラン記録55本を超えるためにつけられた(松井の55も同じ意味がある)。
あまり背負わせるのはよくないのかもしれないが、福田は大豊さんの背番号とスラッガー魂を継いだ男だ。ドラゴンズが求め続けた右の大砲として、今年こそ大ブレイクしてほしい。そう願うファンは多いはずだ。
ドラゴンズは落合GM、谷繁監督体制のもと、勝つための“リアル”に舵を切った。同じくロマン感のあった長距離砲・堂上剛裕が戦力外になった今、福田はシビアなリアルが渦巻くドラゴンズに残された最後のロマンなのかもしれない。8年間で4本塁打の幻の長距離砲が開花すれば、それはそれでロマンあふれる物語である。
そう、プロ野球にはロマンも必要なのだ。