「企業スポーツ」ならではの展開? 西武プリンスドーム名称変更から考える、ネーミングライツ
今シーズンより、西武ドームの名称が「西武プリンスドーム」に変わる。日本でも積極的に採用されているネーミングライツ。そもそも、ネーミングライツを取得することでどんな効果が期待されるのだろうか?
2015/02/24
ネーミングライツの始まりはアメフト
今シーズンより、西武ドームの名称が「西武プリンスドーム」に変更になる。
そもそも、ネーミングライツの意味合いと歴史を振り返ってみよう。
ネーミングライツは、アメリカで出てきた考え方で、公共施設の運営に必要な資金を長期で安定的に手に入れるため、スポーツや文化施設等の名前をつける権利を企業に販売したのが始まりだ。
最初のネーミングライツの事例と言われるのが、1973年にニューヨーク州オーチャードパークに完成したアメリカンフットボール、バッファロービルズの本拠地スタジアムのネーミングライツで、地元の食品会社「リッチ・フーズ社」が応募。企業名を冠した「リッチ・スタジアム」という名称が契約期間である25年間にわたって使用された。
施設を維持、運営していくにはお金がかかる。この費用の一部がネーミングライツという形で長期的に安定的に入ってくる事が施設側の何よりのメリットとなる。ただし、施設側のリスクもある。ネーミングライツ購入企業の業績悪化や不祥事などである。
日本でも複数のネーミングライツが企業側の理由で途中解約になっている。宮城県営スタジアムのネーミングライツを取得していたフルキャストや西武ドームのネーミングライツを取得していたグッドウィルなどがその例だ。
また、アメリカでは、NYメッツの使用するスタジアム「Citi Field」が、ネーミングライツを20年、年2000万ドルで購入していたシティグループの経営不振に対して政府がお金を投入した事を受けて、「Citi/Taxpayer Field(シティ・納税者フィールド)」「Debits Field(負債フィールド)」などと揶揄されることになる。
当然の事ながら、施設側としては、優良な企業と長期的な契約を結びたい。1年や2年で名前がコロコロ変わるようではその施設自体の存在も地域には根付かない。また、自治体としては、公共施設の名前が変わるたびに道路標識の架け替えを行わなければならず、その費用も実はばかにならない。現在、日本のネーミングライツの期間は3年~5年となっている施設が多い。
プロ野球の最長は「QVCマリンフィールド」の10年契約である。欧米では20年以上の契約を結ぶ例も珍しくない。ちなみに、2014年にオープンしたNFLサンフランシスコ49ersのホームスタジアムであるリーバイススタジアムは、リーバイスと20年契約を結んでいる。(金額:総額2億2030万ドル)