非現実的な大記録への期待 数字に裏打ちされた、松井裕樹のリリーフ起用
大久保監督が明かした、松井裕樹のリリーフ起用。昨年のデータを見てみると、いかにその選択が数字に裏打ちされているかが、よくわかる。
2015/02/28
大久保監督の掲げる野球を実現する上で松井のリリーフが重要
楽天・松井裕樹の起用法が話題を呼んでいる。
就任当初から2年目サウスポーのリリーフ起用構想を検討してきた大久保監督。2月12日紅白戦の後、「勝つには必要な投手になってきている。毎日いてくれないと困るという気持ちも込めた」と8回から起用した理由を記者陣に発言。今シーズンは勝利の方程式で起用したい意向を明言した。
この起用に対する反応は賛否両論のようだ。
どちらかと言うと、後ろで使うことに対し、贅沢すぎると感じるファンも多い(確かにもっともなことである)。しかし、先発5回3失点、中継ぎローテ構想を掲げる「一致団結」のデーブボールを実現させるためには、終盤8回、9回の失点は絶対に御法度である。その点を考えると、8回以降の重要所をミコライオとともに任せることができる逸材は、松井裕樹をおいて他には見当たらないのも事実なのだ。
というのも、昨年10試合で起用されたリリーフ登板時の成績が、あまりにも素晴らしかったからだ。昨年の成績を先発・救援別に分けると、このようになる。
防御率は先発4.10、救援1.80。奪三振率は9.45、12.00。与四球率は5.70、1.80。被打率は.225、.185。表に掲げた全指標で救援時の数字が傑出した。未掲載の被OPSでも先発.668、救援.427。リリーフではさらに素晴らしい数字を残している。
最大の魅力はズバ抜けた奪三振能力、空振り奪取能力である。
昨年の空振り率は13.7%。リーグ平均9.3%や奪三振王・則本の12.4%を上回ったが、筆者調べで、救援時だと18.9%まで大幅上昇した。この数字はソフトバンクのサファテ15.7%、オリックス・平野佳寿14.7%、ロッテ・西野勇士16.6%といったリーグを代表するクローザーの数字を大きく超えてくるものだった。