戦力充実のオリックス、安達のショート固定で内野はどうなる?【小宮山悟の眼】
2月1日、プロ野球のキャンプインにあわせて、久米島以外の11球団のキャンプ地を訪れた小宮山氏。前回に続き、今回はパリーグからキャンプで印象に残ったチームを1チームあげてみた。
2015/03/01
ベースボールチャンネル編集部
オリックスの気になる点
さて実際の投打の戦力に目を向けてみよう。先ほども述べたように、大型補強の結果、チーム力は格段にアップした。もちろん、昨年、あとわずかで逃した優勝も十分に狙える。唯一の懸念といえば、昨シーズン、フル回転でチームを支えたブルペン投手陣に疲労が蓄積していないか、という点だけだ。
私が視察に訪れた時、シーズン中は1試合で30球も放らないはずのセットアッパーの佐藤達也が、まるで「そんな心配はいらない」とばかりに、ブルペンで250球を超える投げ込みを行っていた。その様子は圧巻で、それだけ投げられる体力があることは結構だし、彼なりの調整法かもしれないが、あまりのすさまじさに、心配性の私の危惧がより深まってしまったことも事実だ。
一方、野手陣に関しては、打線がだぶつくほど駒が揃っている。ポイントは、誰をレギュラーで起用するかだ。森脇監督は守備力を考慮し、ショートを安達了一で固定する意向のようだが、その場合に中島と小谷野をどう配置するのか。サード中島なら、小谷野はファーストになり、T-岡田はレフトへ。ただ、そうなると坂口智隆を外さなければならない。超攻撃的布陣をしくのなら、セカンド小谷野という案もあるだろう。実際、小谷野はキャンプに内野全ポジションのグラブを持ち込み、「どこでもやります」という意気込みを示していた。
また、見方を変えれば、2つ以上のポジションを守れる選手が揃っていることは、チームの長所でもある。無理にレギュラーを固定せず、選手の調子や、相手先発の左右によって日替わりの打線を組んだっていい。そういう起用法でも戦力ダウンが心配ないほど駒は揃っているし、シーズンを通して、いいチームコンディションで戦い続けられるのではないか。
いずれにしても、森脇監督がどういう戦い方を選択するかは、オープン戦を通して徐々に固まっていくだろう。
オープン戦はラスト5、6試合が重要
さて、そのオープン戦がいよいよ始まったが、個人的には勝敗に関しては重きを置かなくてもいいと思う。重要なのは結果よりも内容。目も当てられないようなミスが続出しての大敗は別だが、たとえ負けても、シーズンと同じような負け方なら何の問題もないだろう。
ポイントになるのは、開幕前の5、6試合。各チームとも先発ローテーションを担う投手が順番に登板するその試合内容で、シーズン序盤の戦いぶりが見えてくる。
パリーグは、こちらも巨大戦力を誇る昨年の日本一ソフトバンクと、オリックスのマッチレースになると予想される。そこに、底力がある試合巧者の日本ハムが、どこまで絡んでいけるか。キャンプ視察では、オリックスにその争いを制する力と勢いがあると感じたが、オープン戦を通して、その考えの成否を見極めていきたい。
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小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。