ロッテ・井口、引退までのカウントダウン。あと2か月でチームに残すものは【マリーンズドキュメント】
千葉ロッテマリーンズの井口資仁内野手は今年6月20日、今季限りの現役引退を表明した。早期発表は、「1試合でも多く、自分のユニフォーム姿を見てほしい」というファンへの思いから。会見では爽やかな笑顔を浮かべていた井口だが、引退試合まで2カ月を切ったいま、何を思うのか。
2017/08/02
千葉ロッテマリーンズ
みんなと刻むカウントダウン、「引退表明からの日々が一番良かったと言いたい」
井口が早い時期に引退を発表したかったのは、感謝をこめたプレーを数多くの人に観に来てもらいたい気持ちからだった。ひとり胸の内で刻み始めたカウントダウンが、今は皆のものとなっている。
それでもまだ過去を振り返らないのは、自身がマリーンズの未来を築く現役選手であるからだ。ここ数年は、積極的に若い選手を食事に誘うことが多くなっていた。声をかける相手はレギュラークラスの選手ではない。
居場所を掴みきれないでいる選手たちに、食事の席でゆっくり真剣に野球の話をした。自らの引き際を考えながら、今後のチームを支えなくてはならない者たちに対して、継承を続けてきた。
「僕も新人の頃は全然ダメでした。でも、きっかけを見つけてからは良くなった。チームの中でやりたいことをやるのは簡単ではないですけど、自分のカラーは自分でアピールしなくてはいけない。きっかけや引き出しをひとつでも与えて、殻を破りきれない部分をフォローできたらと、いつも思っています。彼らの実力はこんなものではないと思うので、もっともっと元気を出して、必死に戦って、持っているものを全て出してほしいですね」
引退試合は9月24日にZOZOマリンで開催される。
「引退試合のことは、まだあまり想像がつかないですけど、最後に振り返ったときに、“引退表明からの日々が一番良かった”と言えるようにしたいです」
井口がユニフォームを着ている時間が限られているからこそ、引退表明からの日々が一番良かったと言ってもらえるように、今この瞬間が最高になるように、自分たちの成長した姿を見せられるように。送り出す側がすべきことは、まだ残されている。