ジャイアンツ・戸根千明 プロで戦う覚悟を示した”内角攻め”
甲子園出場歴もなければ、大学時代の主戦場も日の目を見ない東都大学野球の2部リーグだった。だが巨人のルーキー左腕・戸根千明は、原辰徳監督から「春季キャンプMVP」に名を挙げられるなど、今脚光を浴びている。そんな戸根の可能性を投球面の変化、変わらぬ人間性から紐解く。
2015/03/03
高木遊
写真は大学時代に同部屋だった外野手の千葉翔太(花巻東高出身)との一枚。
「仲の良さがわかる写真を」とのお願いにサッとこうして動いてくれるなど、機転の効く性格も人気球団では大きなプラス材料だ。
「自分に負けることが許せない」
「あの“だるまさん”は面白い」
キャンプを視察した伝説の400勝投手・金田正一氏から、そう称賛(?)を浴びた戸根千明。173センチ・93キロ、胸囲115センチというプロレスラーのような体型を存分に生かしたサイドスロー気味の変則左腕は、紅白戦そしてオープン戦で好投を続け、首脳陣の評価を高めている。
もともと火がついたらトコトンやる性格。3番手投手だった中学時代(京都ニュースターズ/現京田辺ボーイズ)は、毎朝10キロのロードワークを自らに課し、最後の夏にエースの座を奪い取った。日本大学時代は同部屋の尊敬する先輩投手から「なんでそんなにやる気ないんだ? そんな感じだったら辞めちゃえよ」と叱責され一念発起。激しいウェイトトレーニングを敢行し、多量の食事や海外からわざわざ取り寄せたプロテインも摂取し、今の体型を作り上げた。
「僕は負けず嫌いなんです。だからこそ、相手と戦う前にまず自分に負けることが許せないんです」と以前に戸根が語っていたように、悔しさを力にしてここまでやってきた。決してエリート街道を歩んできたわけではないからこそのハングリー精神は逞しく映る。