空回りする阪神の「超変革」。ぬるま湯に浸かる若手、ロジャース獲得は諸刃の剣かそれとも…
阪神タイガースで金本知憲監督の目指す「超変革」が思うように進んでいない。就任1年目の昨シーズン、チームスローガンとして掲げたものの成長を期待した若手野手たちは大半が今、伸び悩んでいる。
2017/08/08
Getty Images
ロジャース獲得は若手成長の「諸刃の剣」か
伸び悩んでいる若手は多いものの、チームは好調だ。7月は12勝9敗で勝ち越し、8月に入ってからも黒星スタートとなりながらここまで引き分けを1つ挟んで4連勝中。
好調モードのチームを支えているのが、新加入を果たしたばかりの新4番で一塁手のジェイソン・ロジャース内野手だ。負傷離脱中の糸井嘉男外野手の穴を埋めるような活躍で打線をけん引。しかし、この新外国人獲得は他の若手陣にとっては諸刃の剣となるかもしれない。
ロジャースが存在感を見せれば見せるほどに一塁起用がメインの8年目の25歳・原口文仁捕手や、糸井の復帰と高山の復調によっては一塁へ再コンバートされる可能性も残されている中谷にとっては出場チャンスの幅が狭められることになるからだ。
相当にスローペースな若手の成長をいつまでも待っていられるような余裕は金本監督や球団にはない。ただ、このロジャースの獲得は一見すると「超変革」には逆行する流れかもしれないが、伸び悩む若手のケツを引っぱたく意味ではプラスに作用することも考えられる。
悔しかったら、這い上がってこい。そして自分の力で存在感を見せ、ポジションを奪い取れ――。
金本監督はまだぬるま湯に浸かったままの若手たちに、そのような無言のメッセージを送っていると考える。ロジャースとポジションが被っていない他の若手選手たちも「明日は我が身」ととらえ、さらに向上心を倍化させれば新たな形で「超変革」は実を結ぶことにつながる。
8日からチームは敵地・東京ドームで巨人との3連戦を迎える。相手は4位から何とかAクラス入りを果たそうと2位の阪神叩きに総力で向かってくるだろうが、これを一蹴しなければ終盤戦は厳しくなる。3タテを食らわすぐらいの強い気持ちで伝統の一戦に臨んでほしい。
そのキーパーソンたちは言うまでもなく、若手たちだ。この絶好の機会で彼らがアピールできなければ「超変革」はそれこそ頓挫してしまうだろう。指揮官の熱い思いに応える若虎たちの猛奮起を虎党も待ちわびている。