牙を出し始めた“百獣の王”西武。外崎と山川、若手の覚せい生んだ指揮官の想い
埼玉西武ライオンズが躍進を続けている。8月4日には59年ぶりの13連勝を果たし、パ・リーグ2強の状況を打開するような快進撃だ。辻監督の“我慢”の采配と、その期待に応える若手の成長が好調を支えている。
2017/08/09
辻監督、“我慢”の若手起用
まだか、まだか、まだなのか。
今シーズンの序盤戦、試合終盤の埼玉西武ライオンズのビハインドの展開。何度もベンチを見やったが、辻監督は動かない。好機を迎えても、指揮官は調子の上がらない若手選手の代打策を講じなかった。
視線の先にいたのは、外崎修汰であり、山川穂高だった。その2人が今、覚せいし始めている。
4月中盤に外野手に転向してレギュラーをつかんだ外崎は、5月まで打率1割台だったが、7月は月間.286をマーク。8月も.270をキープして下位打線の中枢を担っている。
一方の山川は、5月1日に2軍に降格したものの、7月8日に復帰を果たすと不調のメヒアにとって代わってスタメンを奪取。8月1日の楽天戦では則本昂大からの2本塁打を含む3打席連続本塁打を記録した。
指揮官の粘り強い采配に、追いついてきたのだ。シーズン当初から辻監督の采配には「我慢」がテーマに合ったように思う。
開幕スタメンには、ルーキーの源田壮亮をはじめ、木村文紀、田代将太郎が名を連ね、外崎、山川はベンチにて準備態勢を整えていた。その中でひとまずレギュラーを獲得したのが源田だ。田代がベンチに下がると、外崎、山川がそれぞれ出場機会を得ていった。
結果が良かったわけではかったが、打率が落ち込んでも辻監督はチャンスを与え続けた。
昨年までのほぼ3年間、レギュラー陣の顔ぶれはほとんど変わらなかった。1番・秋山翔吾、クリーンアップを打つ浅村栄斗、中村剛也、エルネスト・メヒア。チームで最も順応力のある栗山巧を様々な用途で起用し、唯一足が使える選手として金子侑司、捕手には炭谷銀仁朗が君臨した。
順位が確定すると、捕手の森友哉や岡田雅利、そして外崎と山川もチャンスを得たが、レギュラー獲得までは至らなかった。
辻監督の采配には、若手控えメンバーの中から一本立ちさせたいとの思惑が感じられた。木村・外崎は打率が1割台まで落ち込んだが、それでも使い続けた。
実際、源田に続いてレギュラーを奪ったのは外崎だけだったが、木村はまだ2軍降格の憂き目には合っていないし、4月29日に昇格した若い水口大地も代打・守備走塁要因として1軍の戦力に数えられるようになった。