牙を出し始めた“百獣の王”西武。外崎と山川、若手の覚せい生んだ指揮官の想い
埼玉西武ライオンズが躍進を続けている。8月4日には59年ぶりの13連勝を果たし、パ・リーグ2強の状況を打開するような快進撃だ。辻監督の“我慢”の采配と、その期待に応える若手の成長が好調を支えている。
2017/08/09
待望の“おかわり2世”の成長
シーズン序盤の頃、「我慢の起用」について指揮官に尋ねてみると、意外にもあっさりとした答えが返ってきた。
「いないんだもん。彼らを使っていく。その中でもいいところを見せるようにはなってきているからね。そこを信じていくしかない」
指揮官自身が求めることはたくさんあるが、ひとまずは選手の個性を大切にしようとしていた。
「走者がいたら逆方向にチームバッティングというのは求めたいところだけど、それは選手個々が感じてやるのが一番いい。それをああしろ、こうしろとこっちが言いすぎてしまったら、あいつらだって自分の力を発揮できなくなってしまう。まずは自分たちの力を発揮することを考えてほしい」
若手メンバーの中でも“おかわり2世”といわれながら、長く苦しんできた山川の成長はチームにとって待望の存在だ。
4月28日のロッテ戦での辻采配にはうならされた。前日の試合、1死一二塁の好機で併殺打に倒れた山川を、この日の試合終盤の好機で代打起用したのである。
結果は三振。しかし、指揮官の狙いは別のところにあった。
「1死一二塁でどんなバッティングをするべきかというと、三振するか、頭を超すか。その話は前の日に山川としていて、同じシチュエーションが来たぞって言って代打に送りました。結果は三振でしたけど、それでいいんですよ。経験だから」。
この数日後、山川は2軍に降格した。しかし、この経験があったから、山川は悔しさと課題をもって再起を期したのだ。
「山川はあれだけ開いて打っていちゃ、なかなか1軍の投手は打てない。ホームランを打ちたい気持ちは分からないでもないが、2軍でコンパクトなスイングというのを覚えてきてほしい」
そんな辻監督の想いは、3カ月後の山川の覚せいへとつながった。