今季が勝負の年 ”未完の大器”大田泰示は覚醒なるか?
プロ7年目の巨人・大田泰示が初の開幕スタメンとレギュラー獲得に向け、奮闘している。指揮官も厳しい言葉を寄せつつも、”未完の大器”の覚醒を待っている。
2015/03/05
指揮官が評価する大田の潜在能力
プロ7年目の巨人・大田泰示が初の開幕スタメンとレギュラー獲得に向け、苦しみながらもまい進している。
宮崎キャンプでは初の実戦となった2月12日の紅白戦で4番に座り、西村健太朗から適時打をマーク。その3日後の2月15日に行われた紅白戦では新外国人のマイルズ・マイコラスから〝チーム1号〟を放ち、視察に訪れた長嶋茂雄終身名誉監督から「去年の秋から今年にかけていい感じで打っている。ひょっとしたら面白いよ。今年は」と太鼓判も押された。「今年の泰示は覚醒するための何かをつかんだ」とブレイクを確信しているチーム関係者や首脳陣も多くいる。
とはいえ、好事魔多し。キャンプ中に組まれた紅白戦、練習試合の実戦6試合にすべて「4番・中堅」としてスタメン出場し、25打数12安打、打率.480の好成績を残したことで周囲の期待も高まったが、オープン戦に入ると好調だったバットにブレーキがかかった。3日の日本ハム戦では4番から外されてスタメン落ちし、途中出場したものの2打数無安打。そして4日のオープン戦では1番で起用され、一打席目にヒットを放ち、3打数2安打とようやく結果を残した。
浮き沈みはあるが、何としてでも乗り越えて結果を出し、開幕までにレギュラー奪取を果たさなければ背番号44に明日はないだろう。原辰徳監督も今年の大田に大きな期待をかけている反面、おそらくそれぐらいの厳しい姿勢を持っていると思われる。
原監督が大田に求めている理想は非常に高い。7番・8番の下位打線でのレギュラー奪取ではなく主砲の座をつかみ取ることだ。
しかも右打者の「4番・中堅」となれば、走攻守すべてにおいてハイレベルのプレーが要求されることになる。
指揮官は大田の潜在能力について「彼の持っているスピードや躍動感は、球界にはなかなかいない」と評し、キャンプ中から猛烈な尻叩きを行ってきた。かつてラグビー日本代表のエディ・ジョーンズヘッドコーチからラガーマン転向のオファーをかけられたこともあるほどの卓越した身体能力と長打力を誇る大田は、確かに今の巨人にとって間違いなくダイヤモンドの原石であるからだ。
これまで4番を務めてきた阿部慎之助や村田修一がベテランの域に達し、自慢の強力打線が過渡期に差し掛かってきた今だからこそ「どうにか大田に新主砲として一本立ちして欲しい」と願うチーム事情もある。