巨人・山口俊問題が再燃。選手会の抗議によって露呈した本人の狡猾さ
巨人・山口俊投手が傷害と器物損壊の疑いで書類送検(後に起訴猶予)され、球団は総額1億円を超える罰金と減俸、今季終了まで出場停止の処分を科した。世間からは「甘い」などの批判が上がったものの、いったん事態は収束したかに見えた。しかし、ここにきて労組日本プロ野球選手会が巨人に抗議、処分の再検討を求めたという。
2017/08/29
「巨人軍の一員」として共存できるのか
百歩譲ったとして選手会側が「このまま看過して前例を残してしまいたくない」という考えから巨人とNPBに難癖をつけたのは分からないでもない。だが残念なことに今回の一件でより鮮明になってしまったのは、山口俊の狡猾さだ。
今月18日に山口俊本人は球団事務所で謝罪会見に臨んだ。「今後、このようなことが起こらないよう、社会人として自分自身を律して参ります」とした上で「球団側が科した処分についても重大なことをしてしまったと自覚しているし、反省も込めて受け入れさせていただいた」と言い切っている。
その翌日19日には東京ドームを訪れ、横浜DeNAベイスターズ戦を控えた高橋由伸監督やチームメートに直接謝罪して「巨人軍の一員として心を改めて頑張っていきます」と深々と頭を下げていた。
あの謝罪とその場で口にした反省の弁は一体何だったのか――。
誰だって、そう思うはず。選手会側は今回の書面で「本対応は、選手全体への影響という観点から、“当会として”巨人軍の対応を問題視するもの」と強調している。しかし、山口俊側の全面的な同意が得られなければ、こうした行動に出られないことは自明の理である。
いずれにせよ一度、着地点が見つかったはずの騒動はこれによって再び蒸し返されることになってしまった。反省を込めて処分を受け入れたはずが、球団に対してケンカを仕掛ける格好となった山口俊は、自ら発した「巨人軍の一員」として今後も球団やチームメートと共存していけるかはどういう結論になるにせよ、甚だ疑問だ。