若いチームの羅針盤に ファイターズが田中賢介を呼び戻した理由
稲葉、金子が引退し、小谷野、大引が移籍。ファイターズは一段と若いチームになった。そんなチームの新たなる水先案内人の役割を求められるのが、今季3年ぶりに復帰した田中賢介だ。
2015/03/07
ベースボールチャンネル編集部
若いチームには伸びしろと同時に未熟さもある
稲葉、金子が引退し、小谷野、大引が移籍。元々若手が多かったファイターズは飛び抜けて若いチームとなった。
若いというのは、伸びしろがあるということ。大谷を筆頭に上沢、中村、有原、西川、近藤、岡……。彼らがこの秋、どんな選手になっているか想像するだけでワクワクしてくる。
一方、若さには、伸びしろと同時に未熟さがある。経験値が足りない。これが今季のファイターズの不安だろう。
プロ野球のシーズンというのは、ひとつの家族が船団を組んで航海に出るようなものだ。
だがファイターズには、海を知り尽くしたベテランが少ない。調子のいいときは、若さのポジティブな面が出るだろう。だが一度、アクシデントが起きたら、船員の多くは自分の仕事をこなすだけで手一杯になり、船団は壊滅の危機に直面する。グループ全体に目を配り、仲間をまとめる余裕を持った船員が少ないからだ。
いままでは、稲葉や金子が「羅針盤」や「水先案内人」の役目を果たしていた。何かあったら、経験豊富な彼らについていけばよかった。あまり想像したくはないが、今季は彼らが抜けた穴の大きさを、選手たち、そして私たちファンは痛感することになるかもしれない。
そんな若いファイターズにとって心強いのが、3年ぶりの復帰を果たした田中賢介だ。ベストナインとゴールデングラブを、それぞれ5度受賞した実力者。「去る者は追わず」を貫くファイターズが珍しく呼び戻したベテランには、言うまでもなくリーダーとしての役割が求められている。