楽天・オコエ瑠偉、ハーフゆえの“確固たる個”。プロ2年目で見据える10年後の姿とは
東北楽天ゴールデンイーグルスのオコエ瑠偉外野手が8月の今季初昇格から打撃でアピールを続けている。高校時代は俊足で鳴らしたオコエだが、プロ2年目にして自らの個性を理解し、さらに先を見据えた選手像を思い描いている。
2017/09/05
オコエにしかない「個」
オコエには、人に左右されない「個」がある。
ナイジェリア人の父と日本人の母の間に生まれたハーフ。生まれ育ったのは日本だが、「そうはいっても、僕はあっちの人間。体つきが違う」と断言する。20年の人生で、たくさんの想いを抱えて生きてきたという自負がある。ハーフの誇りと言えるものかもしれない。
「正直に言いますけど、ハーフの人はみんな感じていると思います。日本人はいじめ、差別じゃないっていうと思うけど、日本で暮らしている人にはいろんな思いがあるんです。生まれ育ってきても内心どこかで自分自身は日本人とは違う(とみられている)というのがある」
監督やコーチから多くの指南を受けながらも、自分はこうあるべきという信念を持ち続けてきた。その姿勢は日本的に言うと、「生意気」と捉えられたこともあっただろう。それでも、「人の言うことがすべてじゃない。クビになるのは自分だし、自分の道は自分で切り開いていかないといけない」と話す。
“強く振る”というのは1年目のテーマだった。「自分の技術はまだ入り口にしか立っていない。だから、まだまだこれから良くなると思う。今年中に全てが良くなるとも思っていないけど、今後のステップになると思う」と語っている。
菊池との対戦では、1本塁打2三振と良いところも悪いところも出た。しかし、ボールに合わせるだけでなく、フルスイングする中で何かをつかもうとしたのだ。
しっかり振る姿勢と確固たる「個」。さらに精神的な強さも感じる。技術不足は否めないが、彼の姿勢や言葉こそ、3位に転落し苦しいチームの活力になる気がする。
「個人の結果が積み重なっての勝利。出塁して走るのが、自分がチームのためにできること。まずチームが勝てるようにやっていこうと思います」
3日の首位・福岡ソフトバンクホークス戦は、全て空振りの4三振。この悔しさと空振りの手ごたえがこれからの力になるはずだ。