最速Vソフトバンク、強さの背景にあるもの。22歳・上林を育てる常勝軍団の重み
福岡ソフトバンクホークスは9月16日、2年ぶりにパ・リーグ優勝を果たした。2015年の記録を更新し、パ・リーグ史上最速での優勝。その圧倒的な強さの背景には、厚い選手層と若手の台頭がある。22歳の上林誠知外野手も進化を遂げている一人だ。
2017/09/17
数字には見えない変化を遂げた上林
2年ぶりのリーグ優勝を成し遂げたソフトバンクホークス。今季も多くの若手選手が出場のチャンスを掴み、この優勝にたどり着くまでの勝利に貢献してきた。その中でもレギュラーに定着した上林誠知は数字に見えない部分でも進化を遂げている。
プロ入り2年目となる2015年に初出場を果たし、このシーズンは15試合に出場。初安打を放った次の打席に満塁ホームランを放って初打点を記録している。翌16年は1軍定着を期待されながらも14試合にとどまった。そして今季の122試合出場は自己最多。シーズンを通して試合に出続ける苦しさも経験している。
9番・右翼で初の開幕出場を勝ち取った。5月2日の西武戦では2本のホームランを放ち、翌3日には満塁弾が飛び出すなど、ハイペースでホームランを打ち好調をアピール。6月下旬までは打率3割をキープし、下位を任されながらも繋がりのある強力打線を作り上げていた。しかしその後、そのまま結果を残し続けられるほど甘くはない世界だと痛感させられたのだ。
3割を切った打率は下降を続け、9月15日時点で.266を記録している。夏場、藤本博史打撃コーチは「“間”が取れない状態で入っている。これだけ1軍で試合に出たことはないし、疲れもあると思う」と若鷹を気遣っていた。
「毎シーズン試合に出続けて結果を残している選手のすごさがわかりました」と上林は先輩たちの背中を眺める。1軍定着を目標に取り組んできた昨季、そこからは一段階のぼることができた。今季は1軍で結果を出し続ける苦しみを味わっている。グラウンドでは表情を変えることはほぼない。感情は自分の中に秘め、22歳とは思えぬ落ち着いた口調で淡々と話す。しかし、打席でもがいているのは事実だ。