悔しさ募る消化試合。でも「大谷が投げ、中田が打つ」試合は心ときめく【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#60】
福岡ソフトバンクホークス、パ・リーグ優勝おめでとうございます! 工藤監督の胴上げの瞬間、それから涙の優勝監督インタビューを見て、感動すると同時に悔しさがこみ上げてきました。本当に強かった。見事な戦いぶりでした。
2017/09/23
ソフトバンクは故障者を埋める新戦力の台頭
悔しくてじんわり涙目になってる自分自身に驚いたのだ。ファイターズは今季ずっと低空飛行で、上位にはかすりもしなかったから、もしかすると悔しくないんじゃないかと思っていた。が、テレビで工藤監督が感極まっている。去年、ファイターズに11.5差からの大逆転を食らったことがこの人を強くしたんだと思った。うちは何をやってたんだと思った。心底悔しい。ソフトバンクだって強いファイターズにリベンジしたかったろう。
大谷翔平のケガ、中田翔の不振は言い訳にならないのだ。ソフトバンクこそ主力に故障者があいつぎ、やりくりを重ねたシーズンだった。和田毅は左腕にメスを入れた。千賀滉大、武田翔太、五十嵐亮太、内川聖一、デスパイネ、高谷裕亮、川崎宗則が続々と戦線離脱した。それでも大崩れせず、2勝1敗ペースを堅持したのだ。東浜巨をはじめとする新戦力の台頭がこれを可能にした。9月16日のリーグ優勝は(2015年、工藤ホークスが樹立した「9月17日」の記録を更新する)パ・リーグ最速優勝だった。
9月20、21日の札幌ドーム2連戦はこれまでとは違う見え方のするゲームだった。敢えて言葉にすれば「スパーリングパートナーを務めている」感覚である。残念ながら消化試合だ。ポストシーズンをにらんで調整に入ったチームと、目標の失われたチームだ。21日の第24回戦を報じたスポーツ紙のいちばん大きな記事は「柳田悠岐の途中交代」だった。第1打席で三振した際、わき腹を痛めたのだ(翌日の検査で全治3週間の重傷と判明)。工藤監督は大事を取ってデスパイネも下げてしまった。
が、その代役の塚田正義にホームランを喫するんだから、野球はわからない。ソフトバンクは「ボイラーの火を落としてない」感があった。優勝決定の夜もCSを考慮し、体調管理のためアルコールを自制した球団だからなぁ。柳田、デスパイネの大駒落ちでも気持ちの張りが伝わってきた。うちは西川遙輝の盗塁(単独トップの37個)と、高濱祐仁のプロ初ヒットくらいかな。あ、7回表、甲斐拓也の投ゴロが上沢直之のグラブにはさまって抜けなくなってしまい、しょうがなくてグラブごと1塁に送球(送グラブ?)しようとしたのは面白かった。結局、ボールがこぼれて、それが上沢KOにつながった。スコアは1対4。