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大投手・工藤公康の哲学。代謝するローテ、的確な起用…投手王国ソフトバンクはどのように築かれたのか<再掲載>

福岡ソフトバンクホークスが25日、読売ジャイアンツとの日本シリーズを制し、日本一4連覇を達成した。自慢の強力打線も然ることながら、最もセ・リーグとの差を浮き彫りにしたのが、圧倒的な投手力だ。投手出身の工藤公康監督が構築するローテーションにはどんな秘密があるのか。2017年10月18日に同監督の著書『野球のプレーに、「偶然」はない ~テレビ中継・球場での観戦を楽しむ29の視点~』(カンゼン)から一部抜粋で公開した“野球の見方”を再掲載する。

2020/11/27

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球数は関係ない。継投策の極意

 とはいえ、投手継投の起用法を誤れば勝利につなげることはできない。工藤監督は、同書に投手交代のタイミングの見極め方も記している。
 
 まず、投手のタイプについて、「縦軸回転で投げる投手と横軸回転で投げる投手の2種類に分けられる」としている。
 
 縦軸回転の投手は身長が高く、上から投げ下ろすタイプでカーブやフォークボール、縦スライダーなどの変化球を得意としている投手。横軸回転の投手は平均もしくは低い身長で、スライダー、シュート、カットボールなどの変化球を得意としている投手である。
 
 そして、その見極め方は「縦軸回転=左右のコントロールのぶれ」「横軸回転=上下のコントロールのぶれ」の大きさを見ているという。
 
 工藤監督は、投手交代のタイミングについて「球数を目安にして交代する監督がいるが、ピッチャーからすれば球数は関係ない。自分が思った通りのフォームで投げられているときは、120球でも140球でも投げられる。フォームが崩れているときは、球数が少なくても疲労感が残る」と語っている。
 
 型にはめた交代策を用いるのではなく、自らの経験を生かしてマウンド上の投手の状態を的確に見極めたこと、そして岩嵜が46HP、そしてデニス・サファテが歴代最高の54セーブという驚異的な成績を残したことで勝利を確実に手にした。
 
 野手に目を向けてもチーム本塁打164本と両リーグトップの数字を残しているが、やはり投手陣の安定感は強いチームの条件といえる。
 
 大投手・工藤公康の哲学によって常に代謝される投手陣は長い目で見ても安定感を発揮するはずだ。

書籍情報

野球のプレーに、「偶然」はない ~テレビ中継・球場での観戦を楽しむ29の視点~
(著者:工藤公康/四六判/224頁/定価1500 円+税)
 
試合の流れ? そんなものは存在しない。すべてのプレーには、必ず根拠がある!!
プロの野球解説者は、野球の“ここ”を見る!
これまでの常識を覆す、野球の観戦術・見方を徹底指南!!
今日から、皆さんの『野球の見方』が変わります!!
 
2012年よりテレビ朝日系の報道ステーション及び野球中継、文化放送のライオンズナイターで野球解説者を務める工藤公康氏。
その解説は、他の解説者にはない独自の視点でかつ、茶の間にもわかりやすい内容で、人気を博しています。
みなさんは、応援しているチームの勝利を期待したり、好きな選手の一挙手一投足に視線を注ぎながら観戦している方が多いのではないでしょうか。
そこから一歩踏み出して、「明確な『視点』を持って野球を見てみよう!」というのが本書で届けたいメッセージです。
 
グラウンドで起こりうるプレーにはすべて理由があり、根拠があります。
 
3割打てるバッターには3割打てるだけの理由があり、二けた勝てるピッチャーはそれだけの技術を持っています。
ピッチャーがキャッチャーのサインにクビを振ることにも、何らかの意図があります。
当然、優勝するチームには優勝するだけの理由があります。
 
長いシーズンを戦うプロ野球において、「偶然」が入る要素は非常に少ないのです。
 
本書で取りあげた観戦を楽しむ29の視点に、野球の奥深さが凝縮されています。
 
 
【目次】
 
第1章 観戦時における投手11の視点
第2章 観戦時における捕手3の視点
第3章 観戦時における野手5の視点
第4章 観戦時における打者5の視点
第5章 観戦時におけるベンチ5の視点
特別編 観戦前に知っておきたい2の視点
 
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野球のプレーに、「偶然」はない ~テレビ中継・球場での観戦を楽しむ29の視点~

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