広島の“生え抜き”を育て切る極意とは? スカウト陣のドラフト補強戦略を解く
長い低迷期を乗り越え、セ・リーグを連覇した広島東洋カープ。現在の躍進を支えているのは、“生え抜き”と呼ばれる選手たちだ。その選手たちを発掘したスカウト陣はどのようなドラフト補強戦略を持っているのか。『ベースボールサミット第11回 特集 広島東洋カープ』(カンゼン)から読み解く。
2017/10/26
球界屈指の選手を輩出。広島スカウト陣の慧眼
来季のプロ入りを目指す者たちにとって、運命の日は迫っている。26日のドラフト指名を待つ高校、大学、社会人、アマの選手は、いずれも現在の環境ではトップクラスの実力者たちである。
しかし、群雄割拠のプロの世界で一線級の選手となるのは、ほんの一握り。成功を収めるためには、本人の努力はもちろん、身を置く環境も重要となる。
『ベースボールサミット第11回 特集 広島東洋カープ』(カンゼン)に対して、広島東洋カープの苑田聡彦スカウト総括部長はこう語る。
「カープはドラフト戦略として、『今のチームにはどういう選手が必要か』という方針を持っている。なぜなら、一般的にいう“いい選手”ばかり集めても、ポジションが重複したら活躍の場がなくなってしまう」
超高校級や大学No.1、即戦力と謳われても、指名された球団の同ポジションに不動のレギュラーが君臨していれば、実力を発揮する場も経験を積む場もなくなってしまう。
プロ野球を構成するセ・パ12球団は、それぞれにドラフト補強戦略を持っている。その中でも、セ・リーグを連覇した広島ドラフト補強は成功を続けている。
野手では、田中広輔、菊池涼介、丸佳浩、鈴木誠也が球界屈指の選手となり、安部友裕や西川龍馬も成長を続けている。
投手陣を見ても、野村祐輔を筆頭に大瀬良大地、薮田和樹、岡田明丈が先発に定着し、九里亜蓮、今村猛、中田廉、中崎翔太がブルペンを支えている。
鋭い慧眼を誇る広島のスカウト陣は、どのような方針のもとで選手を見極めているのだろうか? 『ベースボールサミット第11回』から、そのスカウティング力を探る。