勝ちきれずに苦しむマエケン。それでも背中で示す、背番号”18″の意地
前田健太にとって、背番号"18"には大きなこだわりがある。この背番号があったからこそ、今の自分がいる。そんなカープのエースは今年、勝ちきれない日々が続いた。しかし、9月15日の巨人戦では見事な勝利――背番号"18"の意地を見せた。
2014/09/19
ダルビッシュが前田に託した思い
その苦い経験が、翌10年の最多勝、最優秀防御率、最多奪三振投手の三冠獲得という大ブレイクにつながる。6月の交流戦では、ダルビッシュ有との日本では最初で最後の対戦が話題となった。この試合で打席に立った前田は、のちの取材で「やけにいろいろな球を投げてくるな」と振り返ったが、その感想は、「自分の後を継ぐ投手として、持ち球である変化球をほとんど投げてみせた」というダルビッシュの言葉で証明された。前田にとっては、超一流の投手に認められ、そのレベルの高さを肌で感じた貴重な体験となった。
11年は10勝12敗と負け越したが、2年連続200イニング登板を記録し、最多奪三振のタイトルも獲得。200イニングという一流の基準をクリアし、そして状態が悪い中でもタイトルに手が届くレベルに達した。
自身初となるノーヒットノーランを記録した12年は、防御率1.53という驚異的とも言える数字を残した。このノーヒットノーランは、前年のシーズン最終戦、神宮でのヤクルト戦で8回までノーヒットの快投を演じながら、9回に逆転負けを喫した教訓を活かしたものだった。
この年、チームは終盤までクライマックスシリーズ争いに加わりながら、最後に失速してAクラスを逃した。それでも前田にとっては、翌年行われたWBCに向けて「代表に選ばれるために大事なシーズン」であり、自身の成績でそれを証明してみせた。その言葉通り、13年はWBCでの活躍で、日本球界を代表するエースとして周囲からも認められる存在となった。さらにチームは16年ぶりのAクラス入りを果たし、初のクライマックスシリーズ進出を果たした。