勝ちきれずに苦しむマエケン。それでも背中で示す、背番号”18″の意地
前田健太にとって、背番号"18"には大きなこだわりがある。この背番号があったからこそ、今の自分がいる。そんなカープのエースは今年、勝ちきれない日々が続いた。しかし、9月15日の巨人戦では見事な勝利――背番号"18"の意地を見せた。
2014/09/19
まだチャンスはある!
初めての取材から6年、改めて前田は1年1年、確実に進化を続けていることを再認識した。特に感じるのは、失敗を必ず次に活かす糧にしていることだ。カープのエースから球界を代表する投手に成長し、チームも確実に上昇を続けている。ただ、そこに至るまでの過程は、決して順調ではなかった。
変わり続けるマエケンだが、ただひとつ、変わらないことがある。取材時の姿勢、態度だ。初めての取材の時から、会った時の印象は、ほとんど変わっていない。どんなに好成績を残した時も、不調の時も、それを感じさせることなく、礼儀正しく、質問には真摯に対応する。球界を代表する投手になっても偉ぶることもなく、かといって取材回数を重ねたからといって、なれ合うような雰囲気もない。プロのアスリートとはこうあるべき、といつも感じさせられる。
そして今季、今日発売となった『ベースボールサミット第4回』のカープ特集号で、インタビューした前田には、いつになく苦悩の表情も見えた。前年のオフには将来的なメジャー挑戦の意思も語り、周囲の目も厳しくなる中、思うような投球ができない状況。この取材で、前田は「自分はエースではない」と断言した。「優勝の経験がないピッチャーはエースとは言えない」というのが、その理由だった。さらに昨年のクライマックスシリーズを振り返り、「初めてクライマックスシリーズに出た時はうれしかったけど、最後に負けるとやっぱり悔しい、ということがわかった」とも語っている。
前田の好投も実らず、今季最後の巨人3連戦に負け越したカープ。23年ぶりのリーグ優勝は絶望的になったが、まだクライマックスシリーズからの日本シリーズ制覇の道は残されている。昨年、最後に味わった悔しさを晴らす機会はまだ残っている。