ソフトバンクが迎える試練の時。3コーチ流出で問われる工藤監督の真価
福岡ソフトバンクホークスは5日、3コーチの退団を発表した。日本一に大きく貢献したコーチ陣の流出は、工藤公康監督率いるチームにどのような影響を与えるのか。
2017/11/07
後任人事で問われる指揮官の真価
それに今回の3人のコーチ退団を関連付けるとすれば、すべては「タイミング」の一言だと思う。
特に佐藤コーチについてはここ最近、ずっとチーム内での立ち位置が微妙になっているように見えた。工藤監督と同じ投手出身同士で年齢は上。首脳陣としての指導歴も工藤監督より佐藤コーチのほうが当然長い。
こうした背景があったからこそ実際にチーム周辺からは「ここ最近、佐藤さんは何となくやりにくそうだった」ともささやかれていた。
鳥越コーチと清水コーチに関しては、ロッテにうまく引き抜かれてしまった格好と言える。来季からロッテの新指揮官となる井口資仁監督は鳥越コーチとホークス時代から旧知の間柄。清水コーチにとってもロッテは入団から8年間を過ごした古巣だ。そう考えると、2人がオファーを受け入れる条件は整っていた。
さて、来季のホークスでは3人のコーチの退団によって不在になった各ポストに今後、工藤監督の息がかかった後任が就くことになる。そうなれば自らの「ツルの一声」が全体に響き渡りやすくなり、工藤監督としても来季はよりタクトを振るいやすい環境となるであろう。
ただ危うい面も出てくることも補足しておく。これは一歩間違うと“諸刃の剣”となってしまうことも考えられるからだ。
工藤監督に近い人物ばかりで首脳陣が固められれば、強くモノを言える側近が誰もいなくなってしまう。単なる「仲良し軍団」となってしまったら、たとえ間違った方向に進んでいたとしてもブレーキが利かなくなってしまうだろう。
そういう意味でも来季から工藤監督の決断と采配には、これまで以上に大きなウエイトが重くのしかかってくる。
もちろん来季もこれだけの巨大戦力を誇るソフトバンクが絶対有利であることは間違いない。ただ今オフの3人のコーチ退団によって来季、ホークスを率いる工藤監督の手腕は真価を問われることになる。