涌井は反応見えず…大谷は別格。平野、牧田は? 米挑戦へ4投手の可能性は【小宮山悟の眼】
フリーエージェント(FA)権の行使を宣言した選手が15日公示される。海外FAやポスティングを含め、日本人選手の数人のメジャー挑戦が報じられている。今回は彼らのメジャーでの可能性について話したい。
2017/11/15
“メジャーの舞台”で投げたいのか、“先発”で投げたいのか
平野はリリーバーからセットアッパーの役割を担う。メジャーでも1イニングを投げる投手として売り込むことになるが、獲得するメジャー球団がそれを理解してくれているかどうか。今年のメジャースカウトは大谷をチェックしながら、日本の他球団の試合にも足を運んでスカウティングしていたようだが、平野をどのくらいの位置づけで見ていたのか。
フォークボールが武器の投手であり、メジャーのボールで落差を保ったまま投球できるかが見極めのポイントになる。
牧田は、アンダースローの独特のフォームが物珍しく興味を示す球団もあるが、戦力としてカウントできるかどうかを踏まえてのオファーになる。メジャーにも下から投げるタイプがいないわけではない。しかし、牧田ほどコントロールがいい投手はなかなか見当たらない。その一方、牧田のボールには速さが足りない。そこをどう見るか。
右のアンダースローはメジャーにいる中で、精巧なコントロールを持つがスピード不足の牧田。両方を天秤にかけたとき、コントロールがスピード不足を補えると判断できるか。遅いボールはバットに当たる。たとえ1、2回の対戦で抑えられても、3回目以降は厳しいと見ている。
涌井に関しては、30球団の反応が見えて来ない。とびぬけた特徴がないからだ。ローテーション投手が必要なチームは手を挙げるかもしれないが、本当に普通の投手。現状は厳しいだろう。コントロールが優れていると言っても、メジャーのボールは日本と違って粗悪品で、きれいに投げたはずのストレートがシュートしたりもする。
本人たちの意思も大事だ。メジャーリーグのマウンドに立ちたいという思いが強く、契約は二の次、三の次なのか。「先発、中継ぎ、抑えでも関係ない。どんな形でもメジャーで投げたい」という考え方もあるだろう。
そうではなく、「メジャーで先発投手として投げたい」という絶対に譲れない思いがあるのなら、それは契約に大きく影響してくるだろう。折り合いがつかなければ、日本の球団と契約するということになる。
小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。