ドラ2・西村天裕は即戦力の期待大。社会人で叶えられなかった夢をプロで!【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#64】
先日トヨタ自動車Vで幕を閉じた社会人野球日本選手権には、10月のドラフト会議で指名された社会人選手も多く出場した。個人的に注目したのは、ファイターズドラフト2位のNTT東日本の西村天裕だった。
2017/11/18
剛速球が最大の武器
社会人野球日本選手権はNTT東日本の西村天裕に注目した。ご存知、ファイターズのドラフト2位指名選手だ。和歌山県和歌山市出身の24歳。和歌山商→帝京大→NTT東日本だ。僕は父の転勤の関係で和歌山市に住んだことがあり、高松小学校の少年チームで野球を覚えたからすごく親近感が湧く。西村の和歌山商は昔の言い方でいう「県和商」だ。以前は県立と市立、二つの和歌山商業があってどちらも高校野球の強豪校だった。ちなみに僕が野球を教わったコーチは「市和商」出身で甲子園出場経験を持つ、町の米屋の兄ちゃんだった。
だから西村はライオンズの西口文也コーチの後輩ということになる。が、体型はだいぶ違う。西口コーチのように細身でしなやかな印象じゃなく、がっちり体型でかなりごっつい。177センチ、87キロは今の基準でいえば「上背がない」ということになるだろう。右のパワーピッチャーだ。戦車みたいな体型から砲弾みたいな剛速球を投げ込んでくる。今夏の都市対抗優勝にも大変貢献している。ファイターズは大谷翔平をはじめ、投手が何人か抜けるので即戦力の補強は必須だった。
都市対抗のときはファイターズが指名するなんて思いも寄らず、漫然と球速ぇなぁと思って見ていた。リリーバーとして起用されていた。試合の途中で150キロ投げるピッチャーが出てきたらプロでも手こずるのだ。大卒時にドラフトにかかってもおかしくない素材だが、直前でじん帯断裂の大ケガを負ったそうだ。「持ってる持ってない」という言い方をすれば、大変不運な選手なのだった。しかし、その分、社会人で大きな経験を得た。回り道は本人次第で決して回り道でなくなる。社会人2年目でファイターズに上位指名されたのはその証(あかし)だと思う。
念願叶ってプロの指名を受け、この日本選手権は集大成を見せる機会だった。NTT東日本からは他に、福田周平がオリックス3位、渡邉啓太がロッテ5位に指名されている。準決勝のトヨタ自動車戦は華やかな雰囲気に包まれた。優勝候補相手に満を持して西村天裕が先発だ。そして相手にはロッテ2位の好打者、藤岡裕大がいる。