【アジアプロ野球CS総括】“勝利至上主義”の稲葉ジャパンが最高の船出。東京五輪へ新戦力は見つかったのか
「ENEOSアジアプロ野球チャンピオンシップ2017」は19日、稲葉篤紀監督が率いる野球日本代表「侍ジャパン」が初代王者に輝き、幕を下ろした。2020年の東京五輪金メダルを目指す代表チームにとって幸先の良い船出となった。今大会で侍ジャパンは何を得たのか。
2017/11/20
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稲葉監督が語った勝利至上主義の意味
勝利至上主義。
こと育成年代においてこの言葉を聞くと引いてしまう。だが、それがフル代表であるならば腑に落ちる。
大会前の合宿で稲葉篤紀監督が口にしたというこの言葉どおり、新生・侍ジャパンは優勝という最高の結果を残した。
韓国・台湾と計3戦して3勝。開幕の韓国戦では9回までビハインドという苦しい展開の中で粘りを見せると、そのまま力の差を見せつけた形となった。
まさに“勝利至上主義”の戦い。稲葉監督がこの言葉の意味を語る。
「選手たちに言ってきたのは結束力。大会はどんどん進んでいくし、調子が悪いとハマっていくので、切り替えてやっていこうと。勝利至上主義というのは、宮崎合宿から昨日まで、試合の中で調子のいい選手、そうでない選手を見極めて、今日の最終的なオーダーを決めたということです。当初思っていたスタメンよりはだいぶ変わった部分はありましたけど、勝利至上主義といった手前、オーダー、打順が今日はこれがいいんじゃないかとコーチと考えました」
采配だけをみれば、勝利にこだわった稲葉采配にはケチをつけようがなかった。
決勝戦では相手が1点OKの守備陣形を敷く中で、セーフティースクイズの失敗は采配ミスと言われるかもしない。しかし、稲葉監督が選手の調子の良し悪しを見極めて上手く操るという意味において、ほとんど問題はなかった。
だが、この大会に勝ったからといって、侍ジャパンが目標にする「2020年の東京五輪金メダル」が近づいたとは全く思わない。
24歳以下、あるいは入団3年目未満の選手でチームを構成するというレギュレーションで開催された今大会は、若い代表メンバーにとって経験を積むいい機会になったとはいえ、優勝することに大きな意味があるわけではないからだ。
いま、侍ジャパンにとっての課題は代表選手の底上げだ。
今年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、侍ジャパンは2大会連続3位で終わった。 WBCと五輪はメジャー組が不参加など、完全な世界一を決める大会ではないかもしれないが、国内組を組織して世界一を狙う侍ジャパンのスタンスは変わらない。
では、2017年のWBCメンバーが現在のフル代表のレギュラーと仮定した場合、今大会の メンバーが2020年の東京五輪で代表入りできる存在となるか。