【アジアプロ野球CS総括】“勝利至上主義”の稲葉ジャパンが最高の船出。東京五輪へ新戦力は見つかったのか
「ENEOSアジアプロ野球チャンピオンシップ2017」は19日、稲葉篤紀監督が率いる野球日本代表「侍ジャパン」が初代王者に輝き、幕を下ろした。2020年の東京五輪金メダルを目指す代表チームにとって幸先の良い船出となった。今大会で侍ジャパンは何を得たのか。
2017/11/20
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2020年の新戦力となり得る選手は
現状の侍ジャパンは選手層が厚いポジションとそうでないポジションがはっきりと分かれる。NPB全体を見渡しても共通して言えることでもある。
前者は外野と二塁、後者は三塁と一塁。
外野手争いは、筒香嘉智(DeNA)、鈴木誠也(広島)、秋山翔吾(西武)のWBCメンバーに、2017年のベストナインである柳田悠岐(ソフトバンク)、丸佳浩(広島)、西川遥輝(日本ハム)を加えると、入り込む隙はほとんどない。
二塁手も守備職人・菊池涼介(広島)、2年連続トリプルスリーの山田哲人(ヤクルト)がいて、二塁も守れる中島卓也(日本ハム)、パ・リーグのベストナインの浅村栄斗(西武)、ゴールデン・グラブ賞の鈴木大地(ロッテ)と層が厚い。
ところが三塁手と一塁手となると手薄だ。今大会で注目しなければならなかったのは、この手薄なポジションの新戦力が見えてくるかどうか。
結論から言うと、大会打率6割をマークした近藤健介(日本ハム)と西川龍馬(広島)、稲葉ジャパンの初安打と初本塁打を記録した山川穂高(西武)、そして、京田陽太(中日)がその可能性をみせた。
近藤健はDHという役回りながら、今大会は3番に入ってチャンスメークを果たした。今季、けがで離脱するまで打率4割をキープしたヒットメーカーとしての存在価値を十分に証明したと言える。所属チームでは外野手と捕手、二塁手も守ったが、三塁手という選択肢も十分に考えられる。今後のフル代表入りに推したい選手だ。
西川は今大会で広角に打ち分けられるバットコントロールを発揮。決勝戦での本塁打などツボに来たら長打も打てる。開幕の韓国戦ではサヨナラに繋がる安打と盗塁を決めるなど、幅広い起用箇所があるのは大きい。
山川は右の強打者として中田翔(日本ハム)を追う存在になり得る。アピールというところまでは力を見せられなかったが、球界に数少ない和製大砲としての可能性をのぞかせた。
京田は遊撃手でのアグレッシブな守備と長打も打てるバッティングを兼ね備えている。フル代表なら、坂本勇人(巨人)と田中広輔(広島)という先輩がいるが、彼が遊撃手に入ることで、2人を三塁に回すというオプション付きでの代表入りが期待できる。
また、大会MVPに輝いた外崎修汰(西武)も存在感を示したのは間違いない。